2025.12.8
スキルマップとは?導入方法、シートの作り方、項目例をご紹介
働きがいを応援するメディア「ピポラボ」を運営するサイダス編集部です。
今回のテーマは「スキルマップ」です。スキルマップとは、従業員の能力を一覧表にまとめたもので、計画的な人材育成を行うための貴重なデータです。また、会社や組織は適材適所に人材を配置しなければ、生産性を上げることは難しいと言われています。近年、注目されているタレントマネジメントを推進するうえでも、スキルマップは大きな判断基準になります。
この記事では、スキルマップの基本的な考え方や作成手順、管理・活用方法などを実例を交えて解説していきます。営業職・技術職・事務職のスキル項目例や、スキルマップが導入されている業界について詳しく知りたい方は、「トヨタも導入したスキルマップの項目例を職種ごとに解説」の記事をご覧ください。
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【 ピポラボ 30秒で解説! | スキルマップとは 】
- 「スキルマップ」とは、従業員がどんなスキルをどのくらいのレベルで持っているかを一覧で把握できる表である
- スキルマップにおける「スキル」とは、業務を遂行するために必要な資格・技術力・知識などを意味する
- 「スキルマップ」は、人材育成や適材適所の配置に活用するのがおすすめ
目次
スキルマップとは

スキルマップとは、企業の成長戦略を実現するために、誰が・どのようなスキルを・どのレベルで保有しているかを可視化した「スキルの習熟度一覧」です。従業員が保有するスキルや能力を可視化するため、企業が求めるスキルと従業員が保有するスキルのギャップを分析でき、人材育成や配置、採用計画などに活用することができます。
会社の業務を円滑に進めるうえで、従業員のスキル管理は必要不可欠です。同じ職場で働いていても、身につけているスキルやその習熟度は人それぞれ異なります。スキルマップを作成することで、組織のスキルの保有状況が明らかになり、個々の従業員が何を得意とし、どのような業務に対応できるのかを一目で判断できるようになります。
また、スキルマップを作成することで、職場のチームや部門単位での評価も可能となります。個人や組織で目標を立てたときに、どこまで達成したかが明確になるため、効果的な人材育成に繋がります。
スキルマップにおける「スキル」とは?
スキルマップにおける「スキル」とは、業務を遂行するために必要な資格・技術力・知識などを意味します。
これらのスキルを一覧化・可視化することで、個人やチームが持つ能力の棚卸しができ、教育計画や人材配置といった場面で効果的に活用することができます。このように、スキルを明確に定義し、可視化することは、個人の成長支援から組織全体のパフォーマンス向上まで、幅広いメリットをもたらします。
しかし、個人のスキルを正確に知るためには、スキルの判断基準をあらかじめ明確にしておかなければなりません。明確な基準を設けて判断することで、従業員のスキルや不足している点なども見える化されることになります。
そして、これらのスキルを職位や役割ごとに整理する際には、カッツ・モデルを参考にすることで、どの階層にどのようなスキルが求められるのかを体系的に把握することが可能になります。
スキルマップを作成する目的とその効果

スキルマップの作成は、単にスキルを一覧にするだけではありません。それは、組織やメンバーの能力を活かし、成長を促すための戦略的な可視化ツールとして導入され、企業経営において非常に重要な役割を果たします。
スキルマップを作成する主な目的は、以下の通りです。
【スキルマップ導入のメリット】
- スキルの可視化
- 人材育成・スキルアップ
- 適材適所の人員配置
- キャリア開発・評価制度への活用
- 経営戦略と人材戦略の連携
スキルの可視化
スキルマップを作成することで、従業員一人ひとりが持つスキルを可視化できます。「誰がどのようなスキルを持っているのか」「個人のスキルがどのような場面で活かせるのか」などを、経営者や管理者が簡単に把握できます。
また、「必要なスキルを持つ人が何人所属しているのか」といった部門やグループ単位でのスキルの保有状況もわかるため、組織全体の強みや弱みを把握し、将来的な課題解決や戦略的な人材配置に活かしていくことが可能です。
人材育成・スキルアップ
可視化された従業員のスキル状況は、効果的な人材育成やスキルアップに直結します。スキルマップにより、すでに持っている知識や、まだ一定レベルに達していないスキルが明確になるため、個人にとって無駄のない教育計画を確立できます。これにより、従業員は着実なスキルアップが見込めます。
また、従業員の強みや弱みを把握し、個々に最適な研修や教育プログラムを提供することで、効率的なスキルアップを促進します。「社内教育を実践しているけど、その結果や効果が曖昧かも」と感じる場合は、スキルマップを用いてスキル別の達成状況を記録すれば、具体的な効果測定と効果的なフォローアップが可能になります。
従業員のモチベーション向上
スキルマップの有効活用により、従業員のモチベーションアップが期待できます。スキルマップを使って個人のスキルを正確に把握できるため、上司や管理職からの公平かつ正確な評価が実現します。「自分の仕事がきちんと評価されている」と従業員自身が認識できると、仕事に対するやる気を向上させる効果が期待できます。
また、スキルマップを通して、従業員自身が自分の強みや現状、将来のキャリアパスを客観的に把握できるようになることで、求められているスキルや目標が明確になるため、意欲ややりがいを持って仕事に取り組むようになるでしょう。
スキルマップは、本人の許可を得たうえで、部署やチーム内で公開することも可能です。これにより、健全な競争心が芽生え、仕事やキャリアに対する意欲向上や業績アップに繋がるでしょう。
適材適所の配置の実現
スキルマップは、人材配置の最適化にも役立ちます。従業員一人ひとりの得意・不得意をスキルマップによって把握し、各ポジションに必要なスキルとレベルを照らし合わせることで、各部署に必要な人材をピンポイントで最適配置することが可能です。
スキルマップは、新規事業の立ち上げやイベント開催などの際に、必要なスキルや人材を的確に選定したい場合にも役立ちます。また、最適な人員配置やジョブローテーションが実現すれば、会社全体における業務効率化や、従業員の満足度向上による離職率の低下にも繋がります。
評価基準の公平化
スキルマップには、人事評価の基準を公平化できるというメリットもあります。上司や管理者が従業員のスキルを個別にかつ正確に把握することは容易ではありません。しかし、スキルマップにより、能力やスキルが正確に可視化されれば、個人的な感情や記憶に頼ることなく、明確な基準に基づいた評価が可能です。
また、評価を受けた従業員も、スキルマップを見ながら自身の目標と現状を客観的に比較できるため、評価を受けた経緯や理由に納得したうえで、主体的に業務に取り組めるようになるでしょう。
採用ミスマッチの削減・人材不足の解消
スキルマップは、人材採用においても大いに役立ちます。募集する部署や企業のスキルマップをあらかじめ作成することで、現在どんなスキルが足りないかが明確になります。これにより、候補者の中から、補充すべきスキルや知識を持つ人材を的確に見つけられるため、入社時のミスマッチを避けられます。さらに、将来的に必要となるスキルを予測し、計画的な採用活動や人材育成プログラムを実施することで、長期的な人材不足解消の効果も期待できます。
結果として、入社後に即戦力としてすぐに活躍してもらえる可能性が高まり、業績向上や生産性アップも見込めます。
スキルマップの作成の5つのステップ

スキルマップを作成するには、以下の5つのステップを順番に行う必要があります。それぞれ順番に説明します。目次をクリックすると、読みたいセクションにすぐ遷移します。
1. 目的・目標の設定
はじめに、スキルマップを作成する目的や、達成したい目標を明確にしましょう。スキルマップは、「とりあえずスキルを可視化しよう」と曖昧な動機で始めるのではなく、「どの人事課題を解決したいのか」によって、設定するスキルや項目が変わります。
たとえば、「公平な人事評価」を目的とする場合には、各業務の遂行能力を評価できるスキル項目を定める必要があります。一方、「組織的な人材育成」を目的にする場合は、自社のビジョンや将来展開する事業も加味しながら、スキル項目を定める必要があります。
このように目的を具体的に定義することで、後続のスキル項目の選定や評価基準の設定がブレなくなり、導入後の効果測定も可能になります。
2. 業務に関連する必要なスキルを洗い出す
次に、定義した目標に沿って、業務の遂行に必要なスキル(スキルマップに記載する項目)を洗い出します。業務によって必要となるスキルが異なるため、実際の業務の流れを行動レベルまで分解し、それぞれに必要なスキルをピックアップします。
洗い出したスキルは、「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」「コンセプチュアルスキル」といったグループに分類するのがおすすめです。この作業は、必ず現場の管理職やハイパフォーマーを交えて議論すると、より実態に即した項目を設定できます。
【 スキルのグルーピング例 】
| スキル | 内容 | 具体例 |
| テクニカルスキル | 業務遂行に不可欠な専門知識や技術 | ・マーケティング知識 ・プログラミング ・グラフィック制作 など |
| ヒューマンスキル | 対人関係を円滑に進めるための能力 | ・リーダーシップ ・コミュニケーション能力 など |
| コンセプチュアルスキル | 物事の本質を捉え、論理的に考える力 | ・論理的思考 ・課題解決力 など |
3. スキル基準の設定
スキル項目の作成が終わったら、次にスキル基準を設定します。スキル基準とは、スキルをどのように評価するのかを決める基準です。従業員がそのスキルを持っているか、持っていないかという2つの選択肢で評価するのも一つの基準となりますし、習熟度などに応じて段階を持たせることもできます。スキルのデータを分析したり、他の観点から見直したりする場合には、スキルレベルは数字で表したほうがわかりやすいため、 一般的には、3~5段階による評価方法が用いられます。
段階数ごとにメリット・デメリットが異なるため、それぞれの特徴を理解したうえで、自社の目的に合った評価段階を設定することが重要です。
【 3段階の場合 】
例)○/△/×
○:1人でできる
△:ほぼ1人でできる
×:できない
3段階は選択肢が少なく、直感的に評価しやすい点がメリットです。評価者の迷いが少なく、運用負荷を抑えられるため、まずスキル評価を導入する場合にも適しています。
【4段階の場合】
例)
レベル1:個人では業務を行えず、先輩の補助を行うのが精一杯である
レベル2:先輩の補助があれば作業を行える
レベル3:目的や相手に応じて資料を作成し、質疑応答にも的確に答えられる
レベル4:1人で業務を遂行することができ、新人への教育もできる
4段階は「中間評価」がないため、どちらかに寄せて判断する必要があります。結果として、評価の良し悪しを明確に区分でき、3段階より細かいレベル感を把握できる点がメリットです。
【 5段階の場合 】
例)A/B/C/D/E
5段階は、3段階や4段階よりも細かなレベル差を評価できる方法です。熟練度の違いをより正確に捉えられる一方で、評価者間で判断基準がブレやすく、運用時のすり合わせが重要になります。
4. スキルマップの作成
スキルの評価基準が決定したら、設定したスキル項目、レベル、評価基準に基づいてスキルマップを作成します。スキルマップは、Excelなどの表計算ソフトやタレントマネジメントシステムなどの専用システムを用いて作成するのが一般的です。見やすくわかりやすいレイアウトを採用し、従業員が自身のスキルレベルやキャリアパスを理解しやすいように工夫しましょう。
タレントマネジメントシステム「COMPANY Talent Management」シリーズは、全従業員で利用できるシステムとなっているため、1つのプラットフォーム上でスキルマップの作成から配布、スキルの習得状況の確認ができます。

「COMPANY Talent Management」シリーズで叶える!スキルマップ作成の方法について詳しく知りたい方は⇒こちら
なお、スキルマップは厚生労働省のホームページで提供されている「職業能力評価シート」を活用することもできます。
キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード
厚生労働省が用意している「職業能力評価シート」は、人材育成を目的とした個人の評価に役立ちます。上記ページから各業態の「一覧へ」をクリックすると、職業能力評価シートのExcel用テンプレートをダウンロードできます。自社の業界・職種に合わせてカスタマイズするだけで、すぐに使い始めることが可能です。
シートは、スキルを習得するまでにかかる期間の長さによって、レベル1から4まで4つの階層と目安となる役職に分けられています。階層や役職の定義やシートの活用方法については「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアル」で解説されているので、参照しながら作成するとスムーズです。
5.スキルの評価
スキル項目とスキル基準を決めたならば、それぞれの従業員がどういったスキルを持っているのか、習熟度はどの程度なのかを最終的に評価しなければなりません。
スキルの評価方法は大きくわけて4種類です。それぞれのメリットとデメリットを見比べていきましょう。
スキルの評価を上司が行うケース
評価の公平性を確保するには、第三者に確認させるのが理想的でしょう。しかし、コストなどの問題から、上司が最終的な評価をする場合が多いようです。余分な時間やコストがかからないことはメリットといえます。その一方で、上司の主観やバイアスが入りやすく、従業員間での納得感に差が出るというデメリットもあります。
本人の報告をもとにして、上司が最終的な評価をするケース
従業員は業務のなかで自分のスキルレベルがどの程度なのかをだいたい把握しています。補助がなくても自分1人でできると無理をしてしまう人もいるかもしれませんが、そのときは上司が訂正すれば問題ありません。
この方法のメリットは、上司が判断するための情報が増えることや、本人が自分のスキルレベルを見つめなおすきっかけになることです。デメリットとしては、本人の報告やその確認に時間と手間がかかることです。また、自己評価にありがちな「過大評価」や「過小評価」といった認識のズレが発生するリスクも考慮する必要があります。
本人と上司の報告をもとに第三者が最終判断を行うケース
スキル評価の公平性を重視するならば、本人と上司の報告をもとに第三者が最終判断をするべきでしょう。ただし、第三者の選定が難しいことや、コストが余分にかかることがデメリットとして挙げられます。さらに、第三者が対象業務や職種について十分な理解を持っていない場合、評価の妥当性に欠ける恐れもあります。
試験結果をもとにスキル評価を決めるケース
公平性や正確性の面でいえば、試験結果をもとにスキル評価を決めるのも一つの方法です。しかしながら、知識ベースのテストでは実践力や応用力といった現場で問われるスキルを十分に測定できないという課題があります。また、試験問題を作ったり、採点をしたりするにもコストがかかることを考慮しなければなりません。
スキルの項目例
アメリカの経営学者ロバート・L・カッツが提唱した「カッツ・モデル」は、マネジメントに必要なスキルを3種類に分類し、役職ごとの重要度の違いを示したフレームワークです。マネジメント層の育成やキャリア開発にも広く活用されています。
本章では、このカッツ・モデルで定義されている3つのスキルについて紹介します。営業職・技術職・事務職など、職種ごとに設定すべきスキルの項目例については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
1.コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、論理的な思考である「ロジカルシンキング能力」や、既成概念にとらわれない発想ができる「水平思考」、物事を分析するために有用な「クリティカルシンキング」などのスキルで構成されており、会社のトップマネジメント層に求められることが多いスキルです。抽象的な概念から本質を見抜く力とされ、経営層だけでなくて一般社員においても応用が利くスキルです。
たとえば、コンセプチュアルスキルのレベルが高いと、合理的な思考や行動ができるようになり、ビジネスの現場で中心的な役割を果たすことも可能でしょう。課題の発見や解決に寄与できるすぐれたスキルです。
2.ヒューマンスキル
ロバート・L・カッツが提唱したスキル分類法の2つ目は「ヒューマンスキル」です。ヒューマンスキルとは、他者との関係を構築する「コミュニケーション力」や、話を聞いて相手を理解する力である「ヒアリング力」といった、他者との関係性のなかで発揮される能力です。また、商談などの場における「プレゼンテーション力」や「交渉力」、周囲の人間を引っ張っていく力である「リーダーシップ」なども構成要素に含まれます。会社内においてどの立場の従業員にも求められるスキルですが、とくに中間管理職であるミドルマネジメントには欠かせない能力です。
3.テクニカルスキル
ロバート・L・カッツによる分類法の3つ目は、業務遂行能力である「テクニカルスキル」です。テクニカルスキルは大きく2種類にわけられます。業界や職種によって必要となる専門性の高いスキルと、さまざまな職種に応用が利くスキルです。前者は「プログラミング」などのITスキルや、人事や労務などに関する専門性の高い手続きが行えるスキルが該当します。その一方で、後者は、会社の商品や市場に対する幅広く深い「商品知識」や「情報収集力」、すぐれた資料作成などが行える「文書作成能力」などが挙げられるでしょう。テクニカルスキルは、一般社員であるロワーマネジメントにもっとも求められる能力といわれています。
スキル項目の作成ポイント

スキルマップを作成する際のポイントは、以下の4つです。
自社の課題や目標に合致している
スキルマップは、自社の課題や目標を達成するために作成する必要があるため、現状分析を踏まえて作成しましょう。たとえば、中長期的な経営戦略(DX化・グローバル展開など)との整合性を持たせることで、人材育成への投資や配置転換の判断材料としても機能します。
現場の声を反映する
スキルマップを作成する際には、現場で働く従業員や上司からの意見をヒアリングし、現場の実態に即した内容にすることが重要です。加えて、職種ごと/レイヤーごとの違いにも配慮し、「一律ではない柔軟な設計」が求められます。
分かりやすく使いやすい
スキルマップは、従業員が自身のスキルレベルやキャリアパスを理解しやすいように、シンプルで分かりやすい設計にする必要があります。たとえば、3〜5段階評価やレーダーチャート形式を活用することで、視覚的なわかりやすさを高める工夫が重要です。
定期的な見直しを行うこと
スキルマップは一度作成したら終わりではなく、定期的に見直しを行い、変化する状況に合わせてアップデートをしていくことが重要です。見直しは「年1回以上」を目安とし、人事制度や事業戦略の変更時にも都度連動させることが望ましいでしょう。
スキルマップを作成するときの注意点
スキルマップを作成する際の課題と注意点について確認してみましょう。
1. 従業員や管理職にヒアリングを行う
1つ目は、担当者を決めて組織を横断的に管理する方法です。適材適所に人材を振り分けたり、スキルの足りていない従業員を教育したりするには、職場全体を広く管理することは効率的です。デメリットとしては、人材の異動を部署から反対されたときに、スキルマップの担当者がどれほどの実行力を発揮できるのか、という問題があります。第三者の目がない場合には、公平性の問題も挙げられるでしょう。
2. スキルマップの作成にかなりの時間が必要
2つ目の管理方法は、スキルマップの評価を行う上司が管理するものです。上司は従業員の近くにいることで、部下のスキルについてよく知ることができます。人材育成の観点からも、上司がスキル管理を行うのは望ましいといえます。しかし、工期などに追われて、まだスキルが足りていない従業員を仕事に就かせてしまうといったことも懸念されます。こうしたことが発覚すると、会社全体の信用問題になるため注意が必要です。
3. 人によって評価基準の認識にばらつきがある
3つ目の管理方法は、本人が管理するものです。本人はスキルの達成度と目標をその都度修正しながら、スキルの向上を図ります。担当者や上司は定期的にスキルマップを確認し、必要があれば助言や注意を与えます。本人が自発的にスキル向上に取り組んでいるときは、自主性にまかせたこの方法は効果的でしょう。ただし、本人がスキル向上に消極的な場合には、どのくらいの頻度で上司などがスキルマップをチェックするのかを議論しなければなりません。その間隔が長すぎれば中だるみしそうですし、間隔が短すぎれば従業員は信用されていないと考えてモチベーションを落としてしまう可能性があります。
4. スキル項目は現場の意見を反映させる
スキル項目は、現場で実際に使われている業務や役割に即して作成する必要があります。現場の実態に基づいたスキル項目でなければ、運用時に形骸化する恐れがあるため、職種別やプロジェクト別にカスタマイズする必要があります。
5. 評価基準を明確にして評価の偏りを防ぐ
スキルマップを運用するうえで重要なのは、評価基準を明確にすることです。数値だけではなく、各レベルに応じた行動例や成果の目安を提示することで、誰が見ても同じ判断ができるようになり、偏りの防止に繋がります。
6. 組織全体に共有する
作成したスキルマップは、関係者だけで管理するのではなく、組織全体に共有して共通言語として活用することが重要です。そのために、イントラネットへの掲載、説明会の開催、マニュアルの整備などを通じて、社内浸透を図ります。
スキルの管理方法について
スキルマップの作成が終われば、そこで得られた情報をもとにして従業員のスキルを管理していかなければなりません。その場合、スキルマップの管理方法には3つの方法があります。
1. 担当者を決めて管理する
1つ目は、担当者を決めて組織を横断的に管理する方法です。適材適所に人材を振り分けたり、スキルの足りていない従業員を教育したりするには、職場全体を広く管理することは効率的です。
デメリットとしては、人材の異動を部署から反対されたときに、スキルマップの担当者がどれほどの実行力を発揮できるのか、という問題があります。第三者の目がない場合には、公平性の問題も挙げられるでしょう。
2. 上司が管理する
2つ目の管理方法は、スキルマップの評価を行う上司が管理するものです。上司は従業員の近くにいることで、部下のスキルについてよく知ることができます。人材育成の観点からも、上司がスキル管理を行うのは望ましいといえます。しかし、工期などに追われて、まだスキルが足りていない従業員を仕事に就かせてしまうといったことも懸念されます。
こうしたことが発覚すると、会社全体の信用問題になるため注意が必要です。また、上司によって評価基準にばらつきが出るリスクを防ぐため、評価ガイドラインやトレーニングの整備が不可欠です。
3. 本人が管理する
3つ目の管理方法は、本人が管理するものです。本人はスキルの達成度と目標をその都度修正しながら、スキルの向上を図ります。担当者や上司は定期的にスキルマップを確認し、必要があれば助言や注意を与えます。本人が自発的にスキル向上に取り組んでいるときは、自主性にまかせたこの方法は効果的でしょう。
ただし、本人がスキル向上に消極的な場合には、どのくらいの頻度で上司などがスキルマップをチェックするのかを議論しなければなりません。その間隔が長すぎれば中だるみしそうですし、間隔が短すぎれば従業員は信用されていないと考えてモチベーションを落としてしまう可能性があります。
そのため、「自己評価」+「他者評価」(上司・同僚など)のハイブリッド型を導入する企業も増えています。
スキルマップの管理にはマネジメントツールを活用
スキルマップを活用することで、公正かつ正確な能力評価や人材配置の最適化、効率的な人材育成といったメリットが期待できます。また、従業員個人にとっては、求められるスキルや不足している能力が明確になり、適切なゴール設定やモチベーションアップにも繋がります。
スキルアップの効率的な管理には、操作しやすいマネジメントツールが役立ちます。「COMPANY Talent Management」シリーズは、従業員の人材情報を一元管理できる人事システムです。従業員一人ひとりの評価やスキル情報だけでなく、意思や価値観などの個人情報を1つにまとめており、キャリアプラットフォームとして活用できます。スキルマップの効果的な活用方法についてもご提案可能ですので、下記よりお気軽にお問い合わせください。
戦略的なタレントマネジメント運用なら
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