2026.3.31
育児短時間勤務とは?導入方法・給与計算・企業事例を徹底解説
育児短時間勤務とは、3歳未満の子どもを育てる労働者が、所定労働時間を短縮して働ける制度です。給与への影響や利用できる期間、デメリットなどが気になる方も多いのではないでしょうか。
まずは全体像を簡単に整理すると、以下の通りです。
- 原則として1日6時間勤務に短縮される
- 子どもが3歳になるまで利用可能
- 給与やキャリアへの影響がある
この記事では、育児短時間勤務の制度の概要から、給与・利用期間・メリット・デメリットまでわかりやすく解説します。
目次
- 1 育児短時間勤務とは?制度の概要と仕組み
- 2 育児短時間勤務制度の利用状況|どれくらい利用されている?
- 3 育児短時間勤務の対象期間|利用可能年齢は?
- 4 育児短時間勤務の対象者|誰が利用できる?
- 5 育児短時間勤務の給与計算方法|給与はどうなる?
- 6 育児短時間勤務の導入方法|企業はどう整備すればよい?
- 7 育児短時間勤務と育児休業の違い|どう使い分ける?
- 8 育児短時間勤務導入におけるメリット
- 9 育児短時間勤務導入におけるデメリット
- 10 育児短時間勤務制度の企業事例
- 11 育児短時間勤務の課題と対応
- 12 育児短時間勤務を整備して優秀な人材を確保しよう
- 13 育児短時間勤務に関するよくある質問(Q&A)
- 14 戦略的なタレントマネジメント運用なら「COMPANY Talent Management」シリーズ
育児短時間勤務とは?制度の概要と仕組み
育児短時間勤務とは、3歳未満の子どもを養育する労働者が、所定労働時間を短縮して働ける制度です。制度の基本を整理すると、以下の通りです。
- 育児・介護休業法に基づく制度
- 企業には導入義務がある
- 3歳未満の子どもを養育する労働者が対象
この制度は、仕事と育児の両立を支援するために設けられたもので、正式には「短時間勤務制度」とも呼ばれます。
育児・介護休業法に基づき、対象となる労働者が希望した場合、企業は所定労働時間を短縮する措置を講じることが義務付けられています。厚生労働省によると、原則として1日の所定労働時間を6時間とする措置が求められています。
原則として、1日の所定労働時間は6時間程度に短縮されますが、企業によっては5時間や7時間など、柔軟な運用が認められている場合もあります。
これにより、保育園の送迎や家庭での育児時間を確保しながら働くことが可能となり、多くの企業で導入が進んでいます。
育児短時間勤務制度の利用状況|どれくらい利用されている?
厚生労働省の「平成28年度仕事と家庭の両立に関する実態把握」によると、育児休業後に短時間勤務制度を利用した割合は約32.3%となっており、一定数の労働者に活用されていることがわかります。
一方、同調査では制度を運用する上での課題として、「制度利用者に対する仕事の配分が難しい」「制度利用者の周囲の社員の負担が大きい」などの声が挙げられています。
このように、育児短時間勤務制度は多くの企業で導入されているものの、実際の利用には職場環境や理解の浸透度合いによる差があるのが実情です。
企業は制度自体を整備するだけでなく、従業員が安心して利用しやすい環境づくりや人員体制の工夫、上司・同僚の理解を促進する取り組みが重要です。
育児短時間勤務の対象期間|利用可能年齢は?
育児短時間勤務制度の対象期間は原則として、子どもが3歳未満の間です。ただし、2025年10月以降の法改正により、柔軟な働き方のための措置(柔軟措置)が追加されます。
これは育児短時間勤務制度とは別の制度であり、3歳から小学校就学前までの子を養育する労働者に対して、短時間勤務に限らず、時差出勤やテレワークなど複数の働き方の選択肢を事業主が提示することが義務化されるものです。
また、制度の利用には以下のような条件を満たす必要があります(厚生労働省):
- 日々雇用でないこと
- 週の所定労働日数が一定以上であること
- 育児休業中でないこと
- 労使協定による対象除外が適用されていないこと
詳細は、厚生労働省の公式ページで確認できます:
厚生労働省:短時間勤務等の措置(育児短時間勤務・柔軟措置)
育児短時間勤務の対象者|誰が利用できる?
育児短時間勤務制度を利用できるのは、育児・介護休業法に基づき、厚生労働省の「仕事と家庭の両立支援制度の手引き」によると、以下の条件を満たす労働者です。
- 3歳未満の子どもを養育していること
- 1日の所定労働時間が6時間を下回らないこと
- 日々雇用契約の労働者でないこと
- 育児短時間勤務制度の適用期間中に育児休業を取得していないこと
ただし、労使協定により、以下の条件を満たす場合は制度の対象外とすることも認められています。
- 継続雇用が1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 業務の性質等により、短時間勤務制度の適用が困難な業務に従事する労働者
このように、雇用形態にかかわらず一定の要件を満たす労働者が利用対象ですが、会社ごとの就業規則や労使協定の内容によって対象条件は異なることがあります。利用を検討する場合は、自社の規定や人事担当者に確認することが重要です。
育児短時間勤務の給与計算方法|給与はどうなる?
育児短時間勤務を利用すると、勤務時間の短縮に応じて給与も比例して調整されるのが一般的です。
例えば、1日8時間・月給30万円の労働者が6時間勤務に短縮した場合、給与は以下のように計算されます。
- 給与 = 30万円 × 6 ÷ 8 = 約22.5万円
多くの企業では、基本給は労働時間に応じて按分されますが、その他の手当や賞与の扱いは企業ごとに異なります。主な取り扱いは以下の通りです。
- 基本給:労働時間に応じて按分
- 手当(通勤手当、食事手当など):勤務時間や勤務日数に応じて変動する場合あり
- 賞与:企業の規程により扱いが異なるため、就業規則で確認が必要
また、評価や昇給への影響についても企業ごとに方針が異なる場合があります。給与計算や評価の詳細については、就業規則や人事制度を確認することが重要です。
育児短時間勤務の導入方法|企業はどう整備すればよい?
育児短時間勤務制度を導入する際の主なポイントは以下の通りです。
- 就業規則に制度内容を明記する
- 申請方法や運用フローを整備する
- 従業員への周知と理解促進を行う
育児短時間勤務制度を導入するには、まず就業規則の整備が必要です。制度の対象者や勤務時間、給与の取り扱いなどを明記し、社内ルールとして定めます。就業規則を変更する際には、労働者の過半数で組織される労働組合、または過半数代表者の意見を聴く必要があります。
制度を円滑に運用するためには、申請方法や手続きのフロー整備も欠かせません。申請書の形式や提出期限、承認までの流れを明確にすることで、従業員が安心して利用できる環境を整えます。
制度の整備とあわせて重要なのが、従業員への周知です。社内メールや説明会、イントラネットなどを活用し、制度の内容や利用方法をわかりやすく伝えることで、理解と活用を促進できます。
制度は整えるだけでなく、実際に利用されてこそ意味があります。運用設計と社内への浸透まで含めて取り組むことが重要です。
育児短時間勤務と育児休業の違い|どう使い分ける?
育児短時間勤務と育児休業の主な違いは以下の通りです。
- 育児休業は「仕事を休む制度」、短時間勤務は「働きながら育児する制度」
- 育児休業中は原則就業しないが、短時間勤務は勤務を継続する
- 状況に応じて組み合わせて利用することも可能
育児休業とは、従業員が子どもの養育のために一定期間仕事を休む制度で、育児・介護休業法に基づいて定められています。原則として、子どもが1歳になるまで取得することができます(一定条件で延長も可能です)。
一方、育児短時間勤務制度は、仕事を続けながら勤務時間を短縮することで、育児との両立を図る制度です。
両者は対立するものではなく、育児休業から復職した後に短時間勤務へ移行するなど、組み合わせて活用されるケースも多く見られます。
このように、「一定期間しっかり休むか」「働きながら両立するか」という点が、両制度の大きな違いです。
育児短時間勤務導入におけるメリット
育児短時間勤務制度を導入することで、従業員と企業の双方にメリットが生まれます。
従業員にとっては、出産や育児を理由に退職する必要がなくなり、働き続けられる環境が整う点が大きな利点です。収入を維持しながら、ライフイベントと仕事の両立が可能になります。また、キャリアを中断せずに働き続けられるため、将来的なキャリア形成やスキルの蓄積にも繋がります。
一方、企業にとっては、経験やスキルを持つ人材の離職を防げる点が大きなメリットです。人材の定着率が向上することで、採用や教育にかかるコストの抑制にも繋がります。さらに、従業員が安心して働ける環境を整えることは、エンゲージメントの向上や生産性の改善にも寄与します。
このように、育児短時間勤務制度は、従業員の働きやすさと企業の持続的な成長の双方を支える重要な制度といえるでしょう。
育児短時間勤務導入におけるデメリット
育児短時間勤務制度には従業員と企業の双方に影響を及ぼすデメリットも存在します。制度を利用する従業員は、時短勤務により業務が他の従業員に引き継がれることが多く、管理者やフルタイム勤務の同僚への負担が増える可能性があります。また、給与や賞与が減額されることも想定されます。一方で企業側は、労働力の不足が発生した場合に人材を補充したり、リモートワークやフレックスタイム制度などの柔軟な働き方を導入する必要があり、コストや時間の負担が増加する可能性があります。こうした影響を最小限に抑えるためには、従業員と企業双方で業務の調整やフォローが欠かせません。
育児短時間勤務制度の企業事例
育児短時間勤務制度は、多くの企業で導入されており、制度内容や柔軟性は企業ごとに異なります。以下は、各社が公表している制度の一例です。内容は変更される場合がありますが、実際の事例を見ることで、制度のイメージや従業員支援の具体例を把握できます。
トヨタ自動車株式会社
- 男性・女性を問わずライフプランに合わせたキャリア形成を支援
- 育児短時間勤務は出産前から子どもが小学校卒業まで利用可能
- 1日の所定労働時間は4時間・6時間・7時間から選択可能
ソニー株式会社
- 育児短時間勤務のほか、育児フレキシブル勤務、育児期フレックスタイム勤務なども整備
- 出産前から小学校卒業まで利用可能
- 有給休暇の時間単位取得や積立休暇の活用も可能
- ベビーシッター費用補助なども実施
全日本空輸株式会社(ANA)
- 育児短時間勤務、短日数勤務、育児・看護休暇など柔軟な働き方を支援
- 育児短時間勤務は子どもが9歳になるまで利用可能
- 1日の所定労働時間は5~6時間まで短縮可能
- 勤務日数も年度ごとに選択可能
サントリーホールディングス株式会社
- 子どもが中学校に進学するまで、1日2時間まで労働時間を短縮可能
- 特定不妊治療を行う家庭向けの休職・補助制度、共働き家庭向けのベビーシッター補助も導入
- フレックス勤務やテレワーク勤務も活用可能
※掲載している企業の制度内容は公表されている情報に基づきますが、年度や規程改定により変更される場合があります。最新の制度内容は各社の公式サイトや就業規則でご確認ください。
育児短時間勤務の課題と対応
育児短時間勤務制度にはメリットがある一方で、課題も存在します。厚生労働省が実施した「仕事と家庭の両立に関する実態把握のための調査研究事業」では、制度を利用した労働者のうち、内容や待遇に「不満」または「どちらとも言えない」と答えた人は全体の約2割にのぼりました。実際に制度を導入しても、すべての従業員の希望を完全にかなえることは難しいのが現状です。
たとえば、復職者が「働く場所や仕事があるのか」と不安を感じたり、上司や同僚の理解が得られなかったりすると、制度を利用した途端に適正な労働力として認識されなくなるケースも考えられます。そのため、育児短時間勤務制度を職場に浸透させるには、まず同僚や上司の理解を得て、時短勤務が実践しやすい環境を整えることが重要です。
さらに、上司は従業員の状況を正しく理解したうえでマネジメントを行う能力が求められます。また、制度を利用する従業員に対しては、評価や処遇、キャリア形成まで考慮した柔軟な制度設計が欠かせません。こうした配慮を行うことで、従業員の不安や不信感を減らし、働きやすい職場環境を維持することが可能になります。
育児短時間勤務を整備して優秀な人材を確保しよう
育児短時間勤務制度を導入する際には、制度を利用する従業員だけでなく、周囲の従業員に対する配慮も必要です。制度を正しく運用できなかったり、従業員の能力を適切に評価できなかったりすると、従業員の不安や不信感が高まり、退職者が増えてしまう可能性があります。優秀な人材を確保し、継続的に活躍してもらうためにも、就業規則や職場環境を整備し、誰もが利用しやすい制度を構築することが重要です。
育児短時間勤務に関するよくある質問(Q&A)
育児短時間勤務制度をより理解し、活用するためによくある質問をまとめました。制度の利用に際しての不安や疑問の参考にしてください。
Q1. 育児短時間勤務は誰が利用できますか?
育児短時間勤務は、子どもが3歳未満の従業員を対象としています。ただし、利用には厚生労働省が定める要件を満たす必要があります。
例:日々雇用でないこと、週の所定労働日数が一定以上であることなど。
詳細は育児短時間勤務制度の制度概要(厚生労働省)をご確認ください。
Q2. 育児短時間勤務の給与はどう計算されますか?
育児短時間勤務を利用すると、勤務時間の短縮に応じて給与も按分されるのが一般的です。
例:1日8時間・月給30万円の労働者が6時間勤務に短縮した場合、給与は30万円 × 6/8 = 約22.5万円になります。
- 基本給:労働時間に応じて按分
- 手当(通勤手当、食事手当など):勤務時間や日数に応じて変動する場合あり
- 賞与:企業の規程により扱いが異なるため、就業規則で確認が必要
Q3. 育児短時間勤務はキャリアに影響しますか?
制度利用そのものが不利益な扱いになることは法律で禁止されています。実際の昇進や評価への影響は企業文化や上司の理解度に左右されますが、働き方を調整しつつキャリア形成を続けることが可能です。
Q4. 育児短時間勤務で職場の理解を得るにはどうしたらいいですか?
上司や同僚への事前相談、制度内容の共有、業務調整の計画提示などが効果的です。また、社内規程やマニュアルを確認し、必要に応じて労務担当者と相談することで、理解を得やすくなります。
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