2021.7.13
配置転換をスムーズに!基礎知識や課題、人事管理システムの活用事例を解説
配置転換を検討する際に、従業員の能力や人事評価の結果などの情報収集に苦戦している人事担当者もいるのではないでしょうか。近年では育児・介護などの家庭事情や、従業員の希望への配慮も求められており、配置転換の検討に必要な情報が多様化する傾向です。
今回は、配置転換の基礎知識や課題とともに、従業員の情報を一元管理して効果的な配置転換を支援する人事管理システムの活用事例も紹介します。

目次
配置転換(配転)とは
配置転換(配転)とは、同じ企業・組織内で担当する職種・仕事内容や就業場所などを変更する人事施策で「人事異動」と呼ばれることもあります。
繁忙期などの応援とは異なり、期間が長期にわたるのが特徴です。
人材の有効活用や組織の活性化が配置転換の主な目的で、企業のパフォーマンス向上を目指す経営戦略にも組み込まれています。近年では、パワハラ・マタハラなどの加害者・被害者を引き離すために配置転換が行われる事例もみられます。
配転命令権とは?従業員が配置転換を拒否できるケース
配転命令権とは、従業員に対して企業独自の判断で配置転換を命令できる権利で、人事権の一つです。そのため、個別の労働契約や就業規則で職種・就業場所が限定されていない限り、従業員は配転命令に従う義務があります。
一方、育児や介護などの正当な理由によって、従業員から配転命令を拒否される可能性があります。法的なトラブルに発展しないよう、配置転換の辞令を出す前に内示などの形で従業員と事前協議を行うケースが少なくありません。
【類似用語】転勤・出向・転籍・ジョブローテーションとの違い
配置転換と似た意味で使われる用語の意味も確認しておきましょう。
転勤
転勤とは、従業員の就業場所を長期かつ継続的に変更する手続きです。国内や海外への引越しを伴う場合や、所定労働時間や休日といった労働条件の変更が伴う場合があります。転勤と同時に、職種変更や昇進・降職が行われることもあります。
出向(在籍出向)
出向(在籍出向)とは従業員の同意を得て、自社に在籍したまま数か月~数年にわたって他社の事業所で勤務させる契約です。
企業間の人事交流の一環として行われることもあり、出向期間が満了した後は自社に戻すことが前提です。グループ会社での出向を中心に、自社と他社の双方で勤務する「兼務出向」という形をとる場合もあります。
転籍
転籍とは、従業員の同意を得て自社での労働契約を終了させると同時に、他社で新たな労働契約を結ぶ手続きです。会社の合併や分社化が行われる場合は「承継」という形で、従業員の同意を得ない転籍も認められています。
応援
応援とは、繁忙期などの人手不足を補うために、従業員の担当業務や就業場所を一時的に変更する業務指示のことをいいます。自宅からの通勤が難しい遠隔地の事業所を応援する場合は、長期出張として対応することもあります。
ジョブローテーション
ジョブローテーションとは、人材育成計画に基づいて担当業務や部門などを変更する戦略的な配置転換です。総合職・幹部候補を企業の中核となる人材に育てる目的で、転勤や在籍出向を組み合わせて行われることがあります。新卒採用者の配属先決定にも活用されています。
配置転換が必要な理由
配置転換を効果的に行うことで、従業員の潜在能力が引き出されたり組織の活性化につながったりするメリットが生まれます。配置転換が必要な理由を、企業・従業員双方の立場から少し掘り下げてみましょう。
企業が配置転換を行う目的
従業員を適材適所に配置して事業利益を高めることが、企業が配置転換を行う最大の目的です。業務の向き・不向きや従業員の得意分野を見極めた上でパフォーマンスの最適化を図り、事業活動の変化にも対応していきます。人間関係などの働く環境を変えて、組織の活性化を図るのも配置転換の目的の一つです。
幹部候補を中心に、あえて困難な体験を積ませて劇的な成長を促すこともあります(ストレッチアサインメント)。
一方、能力不足の従業員を再教育して、能力発揮の機会を与えるために異動させる場合もあります。なお、退職勧奨に応じない従業員を異動させると不当な動機・目的だと主張され、後に問題となる恐れがあるので注意が必要です。
従業員にとっての必要性
配置転換は、従業員のモチベーション管理にも活用可能です。社内公募制度などを活用して、従業員の希望に応じた配置転換を実現する方法も考えられます。
例えば、別の店舗・拠点を経験させることで多様な考え方が身につき、仕事の視野が広がります。固定化された人間関係を一新させて、心理的なリフレッシュにつなげる一面もあるでしょう。ロールモデル(手本となる人物)を見つける機会が増えることで、キャリアパスを見直すきっかけにもつながります。従業員の持ち味を発揮できる場をいくつも提供して、長期勤続を促進することも可能です。
配置転換にありがちな3つの課題
配置転換を適切に行うことで組織の活性化や従業員の能力開発につながりますが、配置転換後のイメージがつかみにくかったり、情報収集に困難をきたすケースが多いようです。
配置転換にありがちな、3つの課題を一緒に確認してみましょう。
①従業員の希望や評価・能力など情報収集が大変
配置転換にあたっては従業員の評価・能力をはじめとするさまざまな情報が必要なため、情報収集に課題を感じている企業は多いです。
育児・介護への配慮義務が法律で定められており、従業員の家庭環境や希望を確認する必要もあります。さらに、飲食店・小売業のように多店舗展開をしている業態や、医療機関・不動産業といった有資格者の配置が必須な業種では、リーダー経験や経験年数などを正しく把握した上で適切な人材配置が求められます。
一方、従業員の人数が増えるほど、担当者の目で従業員同士のフォロー状況を把握するのが難しくなるのが現状です。
②従業員のデータ管理・分析が難しい
紙やExcelで従業員のデータ管理では、収集した情報の管理・分析が大変です。
例えば、履歴書と人事評価の情報を見比べようとする時には、複数のファイルをめくって情報を探すのに時間がかかってしまいます。情報を比較・分析する基準が可視化されにくいのも課題です。
ちなみにExcelを使う場合は、20シートを超えると目的のシートを探し出すのが難しくなります。定期的に従業員の情報を収集ようとしても、提出状況の確認だけでも苦労することもあるでしょう。
③配置転換後の組織図イメージが湧かない
従業員の人数が多くなるほど、人材のマッチングや配置転換後の組織図のイメージが難しくなります。会議を行う際に従業員の履歴書などの書類をコピーしたり、紙に組織図のイメージを書いたりするのも一苦労です。
個人のプロフィールをはじめ職務内容・人事評価に関する情報、勤続年数や評価点数といった数値データなど、検討する要素は多岐にわたります。すべての情報を網羅した上で適切に配置転換を進めるのは、紙やExcelのデータでは困難を極めるのが実情です。
配置転換をスムーズにするには人事管理システムの活用がマスト
配置転換に関する課題を解決して従業員情報の管理をスムーズに行うには、人事管理システムの活用がおすすめです。
パソコンやタブレットなどから簡単に人事情報を検索できるので、紙の履歴書や評価シートなどから情報を探し出す手間が省けます。クラウドに情報を保管するタイプなら、テレワークにも対応できて便利です。
データ分析機能も豊富で、Excelで複雑な関数を組まなくても欲しいデータを入手できます。しかも、分析結果を表やグラフで確認できるため、わかりやすい点も魅力といえます。
サイダスの提供する「COMPANY Talent Management」シリーズのように、人事管理システムによってはオプションでタスク管理システムや面談支援システムを追加することも可能です。人事業務全体の効率化と従業員とのコミュニケーション充実のために、ぜひ人事管理システムを使いこなしていきましょう。
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