2023.3.7
5W1Hとは?目的や得られるメリット・活用の際の注意点など例文を交えて紹介
上司への報告や取引先へのメールなど、ビジネスシーンのコミュニケーションでは、情報を正確に分かりやすく伝えることが求められます。相手に伝えた情報に不足があれば、思わぬトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
情報を整理し分かりやすく伝える際の手法として、「5W1H」というフレームワークの活用が挙げられます。この記事では、5W1Hの内容を説明するとともに、目的やメリット、活用する際の注意点などを例文とともに紹介します。ぜひ参考にしてください。

目次
5W1Hとは
5W1Hは英語学習でよく聞く言葉ですが、それが具体的に何を意味するのか知らない人も多いのではないでしょうか。まずは5W1Hの意味を説明するとともに、目的とメリットを解説します。
5W1Hの意味と目的
5W1Hとは、下記5つの「W」と1つの「H」の頭文字を取った言葉です。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(だれが)
- What(なにを)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
上記は情報伝達のために必要とする要素であり、この6つの要素を整理して伝えることで、情報を過不足なく相手に伝えられます。例えば「目的」を最も強調して伝えたいのであれば、why(なぜ)を最初に持ってくるのも一つの方法でしょう。
5W1Hを活用するメリット
5W1Hを使うメリットとして、現在の状況を客観的に見ることができ、頭の中が整理されることが挙げられます。そして頭の中が整理されることで、現状の改善や戦略の立て直しがしやすくなるのです。
また、状況を可視化することで、頭の中だけでは気づかなかった本当の課題や原因に気づくことができ、そこから新たなアイデアの創出につながることもあります。
さらに、5W1Hを使って相手に情報を伝えれば、自分と相手の間に生まれる認識のズレを防ぐことも可能です。5W1Hで最初に日付や場所を明確に伝えることで、何度も情報を確認し合うストレスが軽減され、結果として円滑なコミュニケーションにもつながります。
5W1Hの順番と具体例
ここでは、5W1Hの使い方を順番に紹介します。ただし、この順番が絶対に正しいというわけではなく、状況に応じて柔軟に変更することがポイントです。それぞれの要素の具体例をまとめているため、ぜひ参考にしてみてださい。
1.When(いつ)
When(いつ)は時間を表わす要素で、具体的な日時や期限、期間、タイミング、季節などを伝えたいときに使う用語です。Whenを使った例文について以下のような内容が挙げられます。
- 12月1日の14時に
- 明日の15時までに
- 2月から3月の間に
- 部長が出張から帰ってきたときに
- 来年の夏に
Whenは、打ち合わせ日や製品の納期などのビジネスにおける重要な内容を表わす要素であり、ここを曖昧にすると大きなトラブルにつながるため注意が必要です。
ただ単に時間をすり合わせるだけでなく、具体的な時間を相手に伝えることで「何日までに準備をしなければいけないのだな」と認識させ、計画的な行動を促すことにもつながります。
2.Where(どこで)
Where(どこで)は場所を表わす要素で、具体的な場所だけでなく、希望する環境も伝えられます。下記ではWhereを使った例文を紹介しているので、参考にしてみてください。
- 本社3階の会議室で
- 支店の横にある○○というカフェで
- 人が少なく騒がしくない場所で
- 10人ほど入れる広さのある場所で
場所を伝える際は略語を使わず、「○○(店名)というカフェ」など誰にでも分かるよう正確に伝えることが大切です。正確に伝えることで、当日になって「違う場所に来てしまった」といったトラブルを防ぐことができます。
また、具体的な場所が決まっていない場合は「騒がしくない場所」や「10人程度が入れる広さの場所」などと伝えることで、希望する場所の規模感や環境をイメージさせられるでしょう。
3.Who(だれが)
Who(だれが)は主要な人物を表わす要素で、具体的な人物を指すこともあれば、役職やチーム全体を指すこともあります。
- 開発リーダーの○○が
- 営業部の部長が
- 各プロジェクトのマネージャーが
- 新聞を購読している人が
- 取引先の○○店が
人物を明らかにすることで責任の所在が明確になり、「誰に相談すれば良いのか分からない」や「トラブル時の担当が分からない」といった混乱を防げます。また、Whoでは特定の人物だけでなく、「新聞の購読者」など対象となるターゲットを伝えることも可能です。
4.What(なにを)
What(なにを)は対象となるモノやコトを表わす要素で、商品やテーマ、サービス、コンセプトなど多岐にわたります。下記ではWhatを使った例文を紹介しているので、参考にしてみてください。
- 新発売する製品の○○
- 次の会議のテーマとなる○○
- 来月から始まる無料サービス
- このデザインのコンセプトを
Whatでは、製品のように実際に目に見えるものを指すこともあれば、テーマやコンセプトのような目に見えないものを指すこともあります。
なお、Whatについては「あれ」や「これ」と指示語で伝えてしまう人も多いですが、指示語は認識のずれを起こしやすいため注意してください。今まで何度も会話に出てきたモノやコトだとしても、確実に相手が理解できるように具体的な内容をしっかりと伝えましょう。
5.Why(なぜ)
Why(なぜ)は、理由や背景、原因などを表わす要素です。Whyを使わなくても相手に情報が伝わるケースは多いですが、Whyを盛り込むことで、相手の理解や共感を得られやすくなります。下記ではWhyを使った例文を紹介しているので、参考にしてみてください。
- このままでは納期に間に合わないため
- 最近はペーパレス化が進んでいるため
- 新商品の開発で予算を使い切ってしまったので
例えば、ただ上司に「予算を追加してください」とお願いするよりも、「新商品の開発で予算を使い切ってしまったので」と伝えたほうが、上司からの理解は得られやすいでしょう。
Whyを伝えることで、今どのような状況にあり、何が問題なのかを認識しやすくなるため、今後の方向性や対策を考えるのに役立ちます。
6.How(どのように)
How(どのように)は、具体的な方法や手段を表わす要素です。Howではどのように物事を進めるのかを伝えることができ、これからすべき行動の具体的な内容が示されている重要な部分でもあります。下記ではHowを使った例文を紹介しているので、参考にしてみてください。
- 車で商品を運んで
- メールでデータを送って
- 現場にある資材を使って
- 電話とメールをして
Howは物事の根拠を示すのに効果的で、相手へ納得感や信頼感を与えられます。例えばただ「営業に力を入れます」と言うより、「電話とメールでそれぞれ毎日100件ずつ営業をします」と言ったほうが、伝えられた側はリアリティと信憑性を感じられます。
ただし、Howでは必ずしも相手にとって最適な方法を伝えられるとは限らないため、事前に内容をしっかりと練った上で伝えることが大切です。
5W1Hと類似するフレームワークとの違い
5W1Hはビジネスの場でよく使われるフレームワークですが、ほかにも類似するフレームワークが存在します。以下では「5W2H」と「5W3H」、「6W2H」を解説しているので、それぞれの違いを押さえて実践の場で使えるようにしましょう。
5W2H
5W2Hとは、5W1Hのフレームワークに「How much(いくらで)」が加わったものです。値段に関する情報を表わす要素で、製品の価格や見積もり、予算などビジネスにおける重要な情報を含みます。
例えば「自社製品の価格を1万円に設定する予定です」や「このプロジェクトの予算は1,000万円です」などのように使うことが可能です。
値段に関わる決定はとくに慎重に行われるため、ここを曖昧にしておくとトラブルになりやすいため覚えておきましょう。事業の進行に大きく関わる部分でもあるので、How muchについては慎重に検討した上で相手に伝えることが大切です。
5W3H
5W3Hとは、5W1Hのフレームワークに「How much(いくらで)」と「How many(どれくらい)」の要素が加わったものです。
5W1Hだけでも情報を伝えることは可能ですが、話の内容によっては情報に不足があるケースも少なくありません。そこでより詳細な情報を伝えるために、How muchの要素を使って価格、How manyの要素を使って規模を表わすことが多いです。
例えばHow manyでは在庫の量や生産量、商品のバリエーションなどを表わすことができ、これから事業を進める上で重要な規模感を定量的に伝えられます。
6W2H
6W2Hは、5W1Hのフレームワークに「whom(だれに)」と「How much(いくらで)」の要素が加わったものです。whoと少し似ていますが、whoでは「だれが主体となって行うのか」を意味するのに対して、whomでは「だれに対して行うのか」を意味します。
例えばwhomでは、「初めて来店した人に無料サービスを行う」などのように、具体的なターゲットとなる人物を示すことが可能です。
whomでは上司や営業担当者など個人を指すことができますが、「20代の女性」や「車で通勤する人」などターゲット層やペルソナ像を表わすのにも使えます。
【状況別】5W1Hの例文
5W1Hを適切に使うことで、相手に情報を過不足なく分かりやすく伝えることが可能です。それでは実際に、5W1Hの具体的な使い方と例文をシーン別に確認していきましょう。
ビジネスで活用するケース
ビジネスの場において5W1Hは、事業戦略を練ったり事業計画を立てたりなど、事業の内容を詰める際に使えます。下記では「訪日外国人へ向けたWebサイトを公開する事業」を想定した5W1Hの例文を紹介しているので、参考にしてみてください。
- why(なぜ):訪日外国人に向けた観光サイトを公開するため
- who(いつ):2023年2月28日
- where(どこで):自社メディア
- who(だれが):自社広報部
- what(なにを):観光に役立つ自社サービスの宣伝
- How(どのように):動画と文章コンテンツで発信
ビジネスの場で5W1Hを使う際は、何のための事業なのかゴールを明確にするために、最初にwhyを置くのがポイントです。また、より分かりやすく整理したい場合はwhomで「アジア圏の観光客」など、ターゲット層を明確にするのも良いでしょう。
コミュニケーションで活用するケース
5W1Hは、上司への報告や取引先への連絡などでも使えます。下記では「取引先へ会議のスケジュールを連絡するシーン」を想定した5W1Hの例文を紹介しているので参考にしてみてください。
- who(いつ):3月1日の14時から
- where(どこで):弊社の3階会議室
- who(だれが):開発チーム
- what(なにを):定例会議
- why(なぜ):商品の進捗について確認するため
- How(どのように):資料と口頭
5W1Hを使って会議の詳細を取引先に伝えることで、日時や場所を一度で確認でき、お互いに何度も確認する手間を省けます。また、会議の目的や方法も事前に明確になっているため、相手は会議までに必要な準備を済ませておくことができるでしょう。
文章を作成するケース
5W1Hで文章を作成する場合は、まずは順番を気にせず5W1Hの要素を埋め、それから分かりやすいように文章を組み立てるのが良いでしょう。下記では「公務員になりたい旨」を想定した文章における5W1Hの例文を紹介しているので参考にしてみてください。
- who(いつ):来年
- where(どこで):地元の
- who(だれが):私は
- what(なにを):公務員試験に合格する
- why(なぜ):地方公務員になるため
- How(どのように):予備校に通って勉強する
上記を入れ替えると「来年私は地元の地方公務員になるため、予備校に通って勉強し、公務員試験に合格する」となります。5W1Hを活用することで相手に納得感を与えられるだけでなく、自分自身がこれからすべき行動が見えてきます。
5W1Hを活用する際の注意点
5W1Hは情報を正確に伝える手法として効果的ですが、必ずしも全項目を要素として含めなければならないわけではありません。
すべての要素を含めることを意識しすぎると、文章が不自然になったり、冗長表現になったりする場合があります。また、会話が長くなりすぎて、逆に伝わりにくくなることもあるため注意しましょう。
そのため5W1Hを使う際は、必要ないと感じた要素は省いたり、順序を入れ替えたりしながら伝達することが大切です。
例えば「明日、私が東京のイベントで自社商品の実演販売をするため、現場までバスで行きます」という文章も、「明日、東京のイベントで自社商品の実演販売をします」としたほうが相手を混乱させずに済むでしょう。
5W1Hを上手く活用し分かりやすく伝えよう

5W1Hは、情報を整理し相手に分かりやすく伝えるのに効果的な手法です。また、自分と相手の間に認識の相違が生まれるのを防ぐだけでなく、現状を把握して次のアクションを明確にできるのもメリットだと言えるでしょう。
ただし、5W1Hの順番や必要な要素に絶対的な決まりはなく、状況によっては順番を変えたり、要素を省いたりすることも重要です。
ビジネスシーンなどでは分かりやすい情報の提供が求められるため、コミュニケーションを円滑に進めるためにも5W1Hをぜひ活用してください。
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