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2020.2.3

トライアル雇用とは?認められる条件やメリットとデメリットを紹介!

トライアル雇用という言葉を、聞いたことがある人は多いでしょう。トライアル雇用制度とは、就業経験の少ない人や就労期間にブランクがある人、障がい者などを原則3カ月という短期間の試用期間を設けて雇用した後に、仕事への適性をみて本採用を決める制度のことです。この制度、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、トライアル雇用のメリットやデメリット、支給額や申請方法などについて解説していきます。

トライアル雇用とは?

トライアル雇用とは、トライアル(試み)という言葉の通り、ある一定期間を設けて試しに雇用してみることをいいます。これは、すべての事業所や求職者が対象になるわけではありません。一定の要件を満たした人に対しておこなわれる制度です。さまざまな要件がありますが、基本的には就業経験があまりない35歳未満の人や子育て、病気、介護などによって長期間のブランクのある人、障がい者などを対象に救済措置として設けられています。
公共職業安定所(ハローワーク)の紹介により、短期の試用期間を経て本採用に至るかどうかが決定されます。企業側と求職者側が適性を判断したうえで、双方の合意を持って本採用が決まる制度であるため、必ずしも本採用されるわけではありません。試用期間中は政府から「トライアル雇用助成金」が支給されるのも、トライアル雇用の特徴なので覚えておきましょう。そのため、うまく活用することで事業主にとってもメリットのある制度なのです。

トライアル雇用と試用期間との違いは?

トライアル雇用と試用期間との違いがはっきりと分からない人も多いでしょうが、両者には大きな違いはあります。まず、トライアル雇用では、原則で3カ月という期間が設定されています。また、トライアル雇用は双方が合意すれば本採用に至りますが、期間満了後に採用しなければいけないという義務がないのも特徴でしょう。試用期間の場合は、あくまで本採用を前提としての雇用となっているため、解雇するには正当な理由が必要になり自社都合により簡単に解雇するわけにはいかないのです。一方トライアル雇用では本採用の義務がないので、企業側が納得できなければ解雇扱いにしやすく、比較的気軽に雇用できるでしょう。
助成金の有無にも違いがあります。トライアル雇用では、「トライアル雇用助成金」が支給されます。トライアル雇用と試用期間、どちらもお試し期間であることは同じなのですが、試用期間では国から助成金は支給されません。

トライアル雇用のメリット

企業側

まずは、採用のミスマッチを防げることが企業側にとっては大きなメリットでしょう。履歴書や職務経歴書、短い面接時間だけではその仕事への適性は判断しきれません。書類上では職務との相性が良さそう、社風に合いそうだと思っても、実際に働いてみたら合わなかったというケースは珍しくないでしょう。ミスマッチが起こってしまうと、業務がスムーズに進まなかったり退職されたりすることもありますが、トライアル雇用なら原則として3カ月の期間が設定されています。その3カ月のうちに実際に業務をおこない適性を見ることができるので、ミスマッチが起こりにくいのです。また、トライアル雇用後の常用雇用は義務ではないため、契約解除が容易です。トライアル期間で適性がないと判断した場合には、負担なく断ることができます。
採用コストを削減できるのも、トライアル雇用の良い点です。トライアル雇用を利用することによって、企業には国から助成金が支給されます。一般的な採用だと、助成金は支給されないため雇用のための採用コストが多くなりがちです。助成金はトライアル雇用期間終了後に支給され、人件費などに充てることができるので大幅なコスト削減につながるでしょう。

その他の利点としては、スピード感のある採用活動が可能だということです。企業が求める人材像とマッチする求職者をハローワークが紹介してくれるため、書類選考が不要です。一般的に書類選考では求職者の選定に1~2週間、場合によっては1ヶ月ほどかかってしまいます。書類選考は必要ないとなれば、企業と求職者双方の負担が減り、より円滑な採用活動が可能になります。

求職者側

求職者側にとっても、雇用のミスマッチが防げることは大きなメリットになるでしょう。求人票を見ていい企業だと思っても、業務内容が自分には合わなかった、職場の人間関係がうまくいかないというように、働いてみなければ分からないことは多くあります。3ヶ月のトライアル期間で自分に合った仕事なのかどうか判断できるのは、就業経験が少なかったりブランクが長かったりする人にとっては安心できるポイントです。自分に合わないと感じたら、求職者側も大きな負担なく断りやすいので、気軽に応募できるでしょう。
面接までのハードルが低いこともメリットです。一般的な求人だと、まずは書類選考からおこなわれることが多いでしょう。就業経験が少なかったりブランクが長かったりすると、どうしても書類選考を通過しにくくなります。しかし、トライアル雇用の採用選考では書類ではなくて面接からスタートすることが多く、そのため通常の求人よりもハードルが低くなり雇用してもらえる可能性が高くなります。
スキルを習得できるのも良い点です。トライアル雇用の期間中は、実際に業務をおこなうことになります。未経験の仕事であっても、業務を通してスキルを身につけることができるので、経験のない職種でもチャレンジしやすいでしょう。

トライアル雇用のデメリット

企業側

トライアル雇用で企業側が感じるデメリットとしては、教育体制を整える必要があることが挙げられます。トライアル雇用では、就業経験が乏しい人、長期間のブランクがある人など、社会人としての経験があまりない人が応募してきます。そのため、通常の中途採用とは違い、一から指導しなければいけません。教育体制が整っていない企業では、どのように教育するのかを考える必要があるでしょう。経験の乏しい人を指導するため、現場の負担が大きくなりがちで、本採用したとしても即戦力になるように教育する必要があります。雇用する人材によっては、長期スパンで教育しなければいけないケースもあり、人材育成にかかる時間や教育や人件費、時間など各種コストがふくらむことも考えられます。
助成金の手続きに時間がかかることも、デメリットの1つといえるでしょう。助成金は、トライアル雇用をしたからといってすぐに支給されるわけではありません。トライアル雇用の期間が終了してから支給されるため、ある程度の時間がかかります。また、手続きの際にはハローワークに行って相談する必要があるので、手間がかかるのも気になる点です。

他には、即戦力となる人材の採用には向いていないということも挙げられます。 厚生労働省はトライアル雇用制度について、以下のように公表しています。 

職業経験の不足などから就職が困難な方や、これまで経験がない職業に就くことを希望している方が、試行雇用を経て無期雇用に移行することを支援する制度があります。」 

引用 厚生労働省:トライアル雇用 

制度の目的自体が、就労困難者や業界未経験者の早期就職となっているため、即戦力となる人材の獲得は難しいです。 即戦力の採用には、要件定義で自社が必要とする人材の条件を定めてから、中途採用を行うのが有効です。 

また、事務負担が増えてしまうことも懸念点となり得ります。 企業がトライアル雇用を申請し、助成金を受けるには、様々な事務手続きが発生します。計3回の書類提出を済ませる必要があり、提出期限にも注意しなければなりません。 雇い入れる労働者が増えれば増えるほど手続きが煩雑になり、人事や採用担当者に負担が大きくなってしまいます。 

求職者側

トライアル雇用は、本採用が約束されているわけではありません。トライアル雇用は試用期間とは異なり、本採用を前提としていないため、求職者が長く働きたいと思っても企業側の都合によって期間満了で契約解除される可能性もあります。短期でも現場経験を積んだとしても、その後採用される保証はありません。せっかく身につけたスキルが生かせない場合もあるでしょう。

トライアル雇用→契約終了という流れを何度も繰り返すことはデメリットにつながります。本採用に至らずトライアル雇用で終了となった場合でも職歴として残るため、短期の職歴が残ってしまうのです。そのため、今後の求職活動に影響する恐れもあるので気を付けましょう。 

トライアル雇用助成金の種類

企業がもらうことのできるトライアル雇用助成金には、いくつかの種類があります。まずは「一般トライアルコース」です。ハローワークなどの紹介により、職業経験が不足している人や長期間のブランクがある人に対してトライアル雇用をおこなった場合に支給されるのが、一般トライアルコースになります。
2つ目は「障がい者トライアルコース」です。こちらは、ハローワークなどの紹介で、求職や就職が困難な障がい者に対してトライアル雇用をおこなった場合に支給されます。「障がい者短時間トライアルコース」もあり、障がい者トライアルコースと同様、求職などが困難な障がい者に対してトライアル雇用をおこなった場合に支給されるのですが、労働時間が定められているのが特徴でしょう。雇い入れの段階で週の所定労働時間を10時間以上20時間未満として、障がい者の体調や状況に応じて20時間以上を目指していくものです。
「若年・女性建設労働者トライアルコース」は、若年層(35歳未満)や女性を建設技能労働者としてトライアル雇用した場合に支給されます。一般トライアルコースか障がい者トライアルコースに上乗せされるのが特徴といえます。

一般トライアルコースの受給要件

一般トライアルコースの対象者からは、安定した職に就いている人や自営や役員などで一定時間働いている人、学生やほかのトライアル雇用をしている人を除くという決まりがあります。基本的には、働いていない人やブランクの期間が長い人などを対象にしているため、職に就いている人は対象外です。
詳しい需給要項としては、過去2年以内に2回以上転職や離職をしている、離職している期間が1年を超えている、就労経験のない職業に就くことを希望しているといったものがあります。また、45歳未満の個別支援を受けているニートやフリーター、生活保護受給者やホームレスなど特別な配慮が必要な人が対象も一般トライアルコースの要件に当てはまります。また事業主側もトライアル雇用求人を出すにはいくつかの条件を満たす必要があります。 

  1. はじめから無期雇用、または、まずはトライアル雇用、のいずれによる応募も可能であること。 
  2. 派遣求人以外の求人であること。 
  3. 法令に違反していない求人であること。 
  4. ハローワーク等において、求人受理に係る条件等について定めた規定等がある場合、その規定等を満たしていること。 

一般トライアルコースの支給額

一般トライアルコースの支給額は、原則として3ヶ月間、1カ月あたり4万円となっています。つまり、トライアル雇用を3カ月間おこなうと、1人につき最大で12万円が支給されるのです。また、対象者が母子家庭の母、または父子家庭の父の場合には、支給額が上乗せされ1カ月で5万円になります。厚生労働省から認定された中小企業が35才未満の若年者をトライアル雇用する場合には、月額5万円というように、雇用する人の条件によって、支給額が変わってくるのも特徴です。

障がい者トライアルコースの支給要件

障がい者トライアルコースの対象となるのは、「障がい者の雇用促進等に関する法律 第2条第1号」によって定められている障がい者です。さらに、就労経験のない職場への就職を希望している、過去2年以内に2回以上の転職や離職を繰り返している、離職している期間が6カ月を超えているなど、いずれかを満たすことも求められています。基本的には、就業経験の少ない、もしくはブランクのある障がい者が対象になるでしょう。また、重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者も対象です。

障がい者トライアルコースの支給額

障がい者トライアルコースも、一般トライアルコース同様に、原則として1人あたり月額4万円が最大3カ月間分支払われることになります。ただし、精神障がい者である場合には最長で6カ月支給されます。この場合、雇用から3カ月は月額8万円、後半の3カ月は月額4万円です。

トライアル雇用助成金の申請の流れ

トライアル雇用助成金を申請する場合にはまず、トライアル雇用求人をハローワークに提出します。その後、ハローワークから紹介される求職者の面接を行い、トライル雇用での採用が決定したら、有期雇用契約を結ぶことになります。また、採用から2週間以内にハローワークに「トライアル雇用実施計画書」を提出する必要があるので、忘れないように注意しましょう。
トライアル雇用期間中に、適性などを見ながら常用雇用に転換するかどうかを検討します。この仕事への適性があり本採用したいと思ったら、求職者と常用雇用契約を締結しましょう。トライアル雇用期間が終了、もしくは常用雇用契約締結から2カ月以内に「トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書」を労働局に提出して完了です。要件や必要手順、必要な項目が満たされているかが審査されたうえで、3カ月分の支給額が一括で振り込まれることになります。

トライアル雇用助成金が減額になるケースとは

トライアル雇用助成金が減額になってしまうケースも存在します。まずは、トライアル雇用期間が短い場合です。トライアル雇用の期間が1カ月に満たない場合には就労日数に応じた額で計算されることになるので、減額されてしまいます。トライアル雇用期間中に求職者が離職した、早期に常用雇用に切り替わったケースなどでは減額されることがあるので、気をつけましょう。
トライアル雇用期間中に、休暇や休業があった場合にも支給額が減額されることがあります。休暇や休業が予定していた就労日の75%を下回る場合には、支給額が減額されてしまうのです。この割合は、対象者が1か月間に実際に就労した日数÷対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数で求めることができます。

トライアル雇用についてしっかり理解しよう!

トライアル雇用制度は、企業にとって適性のある人を見極めつつ、助成金をもらうことのできる制度です。ミスマッチを防ぐことができるというメリットがある一方、教育制度などを整える必要がある、申請に手間がかかるなどのデメリットもあります。仕組みやメリット・デメリットなどについてきちんと把握して、必要があれば積極的に導入してみるといいでしょう。

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