働きがいを応援するメディア

2025.3.28

就業時間とは?知っておきたい労働時間との違いや残業・休憩時間の基礎知識 

こんにちは!働きがいを応援するメディア「ピポラボ」を運営するサイダス編集部です。

日々仕事をしていると、「就業時間」「労働時間」「勤務時間」等、似たような言葉を目にすることが多いですが、その違いを正しく説明できますか?実は、これらの用語の違いを正しく理解していないと、休憩時間や残業代の計算を誤る可能性があります。

この記事では、労働基準法に基づいて、それぞれの言葉の違いを分かりやすく解説します。さらに、平均的な就業時間の長さや、法律で定められている休憩時間、休日数、残業時間についても、具体例を交えて説明します。

この記事を読めば、労働基準法の基礎知識を理解し、自分に合った働き方を見つける手助けになるはずです。 

就業時間とは

「就業時間」とは、就業規則で定められた「業務を開始する時間から終了する時間まで」のことを指し、休憩時間もここに含まれます。たとえば、9時に出社して17時に終業する場合、9時から17時までの8時間が就業時間にあたります。 

「就業時間」「就労時間」「勤務時間」は基本的に同じ意味

「就業時間」と似た言葉に、「就労時間」や「勤務時間」といった言葉があります。それぞれの意味の違いは以下の通りです。

  • 就業時間
    就業規則で定められた、始業から終業までの時間(休憩時間を含む)。 
  • 就労時間
    使用者の指示のもとで働く時間(休憩時間を含む)。  
  • 勤務時間
    求人票等で使用されることが多い表現で、実質的には就業時間と同じ意味。 

したがって、基本的には「就業時間」「就労時間」「勤務時間」は同じものと考えて問題ありません。 

【 補足:就業規則とは 】 
就業規則とは、会社が労働者の労働条件や服務規律等について、具体的に定めた規則のことです。労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成と行政官庁への届け出が義務付けられています。

就業規則には、始業・終業時刻、休憩時間、休日、賃金、退職等の基本的な労働条件のほか、服務規律や懲戒に関する事項等が定められ、会社と労働者の間でトラブルが発生した場合の判断基準となる重要なものです。 

就業時間と「労働時間」「実労働時間」の違い

アルバイトや就職活動、転職活動をする際、「就業時間」「労働時間」「実労働時間」という言葉を見かけることがあると思いますが、それぞれの意味は異なります。労働時間の適正な管理を行うためにも、しっかりと違いを把握しましょう。 

就業時間と「労働時間」の違い

就業時間は、就業規則で定められた「業務を開始する時間から終了する時間まで」のことを指し、休憩時間もここに含まれます。一方で、労働時間は、就業時間から休憩時間を引いた、実際に仕事をしている時間のことを指します。 

 就業時間 労働時間 
定義 始業から終業までの時間
(休憩を含む) 
就業時間 – 休憩時間 
例)9:00~18:00の場合 9時間(休憩1時間も含む) 8時間 


さらに、労働時間には「所定労働時間」と「法定労働時間」の2種類があります。 

【 労働時間の種類 】

  • 法定労働時間 
  • 所定労働時間 


法定労働時間とは 

法定労働時間は、労働基準法によって「1日8時間・週40時間」と定められた労働時間の上限であり、企業はこの上限を超えて従業員を働かせることは原則としてできません。法定労働時間が設けられているのは、長時間労働によって労働者の心身の健康が害されることを予防するためです。 

所定労働時間とは 

所定労働時間は、休憩時間を除く始業から終業までの労働時間を指し、就業規則や雇用契約書等に記載されています。所定労働時間は労働基準法に定められた1日8時間、週40時間の法定労働時間の範囲内であれば企業は自由に設定でき、たとえば、「1日7時間・週35時間」でも可能です。 

知っておきたい!労働時間に含まれる意外な時間

接客業や製造業等で、特定の作業着の着用が義務付けられている場合、その着替えの時間は労働時間と見なされます。 また、使用者の指示に基づき、業務に必要な準備や業務終了後の関連作業を事業場内で行う場合、その時間も労働時間に含まれます。 

就業時間と「実労働時間」の違い

就業時間は、休憩時間を含む始業から就業までの時間を意味していますが、「実労働時間」は、実際に業務を行った時間を指します。残業が発生した場合は、所定労働時間と残業時間を足した時間が実労働時間となります。 

 就業時間 実労働時間 
定義 始業から終業までの時間
(休憩を含む) 
実際に業務を行った 
時間 
例)9:00~18:00の場合 9時間(休憩1時間も含む) 所定労働時間+残業時間 

休憩時間とは

休憩時間とは、従業員が労働から完全に離れることを保障される時間のことです。労働基準法では、一定の労働時間を超える場合、使用者に対して適切な休憩時間を与えなければならないと定めています。 ここからは、付与される休憩時間の規定と上限、そして休憩時間への賃金の有無について解説します。 

労働時間ごとの休憩時間の最低基準

労働基準法では、労働時間の長さに応じて、最低限確保すべき休憩時間が定められています。労働時間に対して付与すべき休憩時間は、以下のとおりです。 

労働時間別の休憩時間 

労働時間 付与すべき休憩時間 
6時間以下 不要 
6時間超8時間以下 45分以上 
8時間超 1時間以上 


例: 
勤務時間が10時から16時までの場合、労働時間は6時間となるため、休憩時間は法的に必須ではありません。 
勤務時間が9時から18時の場合、労働時間は9時間となるため、1時間以上の休憩時間が必要です。 

休憩時間の上限

労働基準法では休憩時間の下限のみが定められており、上限は特に設けられていません。しかし、休憩時間が長くなりすぎると、結果的に労働者の拘束時間が長くなってしまう可能性があるため、休憩時間の長さは、労働者の健康や福利厚生、業務の効率性等を考慮して、適切な範囲で設定する必要があります。 

休憩時間に対する賃金の支払い有無

休憩時間には、原則として賃金を支払う義務は発生しません。なぜなら、休憩時間は、従業員が労働から完全に離れる時間であり、労働時間に含まれないからです。

ただし、休憩時間中であっても、業務上やむを得ず作業を行った場合は、労働時間として認められ、賃金が支払われるケースがあります。たとえば、以下のようなケースが考えられます。 

・休憩中に顧客から電話があり、緊急性の高いクレーム対応を行った場合
・休憩中にシステム障害が発生し、復旧作業を行った場合 

休憩時間中であっても、業務内容や状況によっては労働時間として認められる可能性があることを、企業も従業員も双方で認識しておきましょう。 

残業とは

労働時間が法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える場合、超過分は「時間外労働(残業)」に該当します。この時間外労働を認めるためには、企業は「時間外・休日労働に関する協定」、通称「36協定(サブロク協定)」を労働組合(もしくは労働者の過半数を代表する者)と締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。これらの手続きを踏むことで、企業は労働者に時間外労働をさせる法的拘束力を持つことが可能です。 

時間外労働の上限は、休日労働を含まないことを原則として、月45時間・年360時間以内と定められています。36協定で定められた範囲を超えているとき、あるいは会社と労働組合や労働者の代表が36協定を締結していないときは、残業の法的拘束力はありません。たとえば、月45時間を超える残業は36協定の範囲外のため、命じられても労働者は拒否することが可能です。 

一方で、臨時的な特別の事情がある場合、「特別条項付き36協定」を締結することで、以下の範囲内で時間外労働を延長することができます。 

  • 年間の時間外労働が720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計が、単月で100時間未満 
  • 時間外労働と休日労働の合計が、2~6か月平均で月80時間以内 
  • 月45時間を超える時間外労働が可能なのは年間6回まで 

これらの上限を超える時間外労働は法律で禁止されており、違反した場合、企業には罰則が科せられる可能性があるため、注意が必要です。また、36協定についてさらに理解を深めたい方は、「しっかり理解していますか?36協定の概要・休日出勤の扱いについて知ろう」をぜひご覧ください。 

時間外労働は2種類存在する

時間外労働には、「法定内残業」と「法定外残業」があり、どちらに該当するかによって支払うべき賃金の額が異なります。 

  • 法定内残業
    所定労働時間を超えているが、法定労働時間内におさまる残業
  • 法定外残業
    法定労働時間を超える残業 

それぞれの用語について詳しく解説します。 

法定内残業 
法定内残業とは、1日の所定労働時間が8時間未満の場合、その時間を超えて法定労働時間である8時間まで働くことを指します。たとえば、勤務時間(所定労働時間)が7時間で、1時間残業した場合、所定労働時間を1時間超えていますが、法定労働時間(1日8時間)は超えていません。

この場合、割増賃金は適用されず、残業に対しては所定の賃金を支払います。

法定外残業
法定外残業とは、「1日8時間、1週間40時間」を超過した残業のことを指します。所定労働時間が8時間の職場で2時間の残業をした場合、2時間に対して割増賃金の支払いが発生します。割増賃金は、通常業務の賃金を1.25倍以上で計算して算出した金額です。

なお、22時から翌5時までは深夜勤務で、深夜割増も発生します。深夜割増も通常の賃金の1.25倍です。休日出勤も割増賃金の対象となり、法定休日の出勤で1.35倍、法定外出勤で1.25倍以上の金額で算出します。

残業・休日別の割増賃金 

種類 支払う条件 割増率 
法定外残業 法定労働時間を超える 25%以上 
深夜残業 22時〜翌5時に勤務する 25%以上 
法定休日出勤 法定休日に出勤 35%以上 
法定外休日出勤 法定労働時間を超えた場合 25%以上 

残業残業時間、深夜割増、休日出勤等の具体的な計算方法

労働者が残業や深夜勤務、休日出勤した場合、割増賃金が発生することがあります。そのため、状況に応じた適切な計算が必要です。具体的にどのように算出するのか、例を挙げてみましょう。

所定労働時間8時間を超えて残業した場合

勤務時間が8時から17時(休憩時間1時間)の職場で、19時まで働いたとします。この場合、所定労働時間は8時間であり、残業が17時から19時まで2時間が残業に該当します。したがって、この2時間分には通常賃金として、1.25倍以上の割増賃金を支払う必要があります。 

所定労働時間6時間を超えて残業した場合

勤務時間が8時から15時(休憩時間1時間)の職場で、19時まで働いたとします。この場合、所定労働時間は6時間であり、15時から19時までの4時間が残業に該当します。

この場合、15時から17時までの2時間は、所定労働時間を超えていますが、法定労働時間(1日8時間)以内であるため「法定内残業」として扱われます。一方、17時から19時の2時間は「法定外残業」となるため、割増賃金の対象となり、通常賃金の1.25倍以上の賃金を支払う必要があります。 

深夜割増がある場合

ケース① 残業あり 

勤務時間が8時から17時(休憩時間1時間)の職場で、23時まで働いたとします。この場合、所定労働時間は8時間であり、17時から23時まで6時間が残業に該当します。

この場合、17時から22時までの5時間は時間外割増の対象として、通常賃金の1.25倍以上の賃金を支払う必要があります。さらに、22時から23時までは深夜割増も加算されるため、通常賃金の1.25倍+深夜割増(25%以上)を加え、合計で1.5倍以上の賃金を支払う必要があります。 

ケース② 残業なし

勤務時間が17時から24時の職場で、残業がないケースをみてみましょう。この場合は時間外割増は発生しません。ただし、22時から24時の2時間は深夜割増の対象となるため、通常賃金の1.25倍以上の賃金を支払う必要があります。 

休日出勤の場合

休日出勤の賃金を計算する場合、次の2点に注意が必要です。

① 出勤したのが、法定休日(1.35倍以上)か法定外休日(1.25倍以上)かで、割増率が異なる 
② 休日であっても必ず割増賃金が発生するわけではなく、法定労働時間(週40時間・1日8時間)を超えた分が割増賃金の対象となる 

※法定休日、法定外休日についてはのちほど詳述します。 

ケース① 法定労働時間を超える休日出勤

たとえば、1日の勤務時間が8時間・土日が休みの会社で、平日出勤に加えて土日ともに出勤したとします。この場合、法定労働時間(40時間)を超えて休日出勤をしているため、土曜日の賃金は1.25倍以上、日曜日の賃金は1.35倍以上で計算します。 

ケース② 法定労働時間内の休日出勤

たとえば、1日7時間勤務・土日休みの会社に勤務している場合、週35時間勤務となり、法定労働時間の週40時間まで5時間余裕があります。そのため、平日に加えて土日ともに出勤した場合、最初の5時間は通常賃金のままですが、それを超えた分の勤務時間が割増対象となります。 

変形労働時間制とは

労働基準法では、「1日8時間・週40時間以内」という法定労働時間が定められています。しかし、業務の繁閑に合わせて柔軟に労働時間を調整できる制度として「変形労働時間制」があります。

変形労働時間制には、1年単位・1か月単位・1週間単位の3種類があり、事業形態に合わせてどれを導入しても構いません。ただし、変形労働時間制を導入する際は、対象期間全体で、1週間あたりの平均労働時間が法定労働時間(40時間)を超えないように調整することが必要です。

つまり、変形労働時間制は、労働時間を1日単位で考えるのではなく、年・月・週といった期間で調整するしくみといえます。繁忙期や閑散期がある事業所では、変形労働時間制をうまく取り入れることで働き方にメリハリがつき、効果的な労働時間管理が可能になります。 

1年単位の変形労働時間制

1か月以上から1年以内の期間で労働時間を調整し、1週間あたりの平均労働時間が40時間以内になるように設定する制度です。なお、1日あたりの労働時間は最大10時間までとし、連続勤務は6日までにしなければなりません。

例) 
季節によって業務量が大きく変動するレジャー施設では、以下のように調整可能です。 

  • 繁忙期(夏):1日9時間勤務
  • 閑散期(冬):1日7時間勤務 

年間を通じて労働時間を最適化できます。 

1か月単位の変形労働時間制

1か月以内の労働時間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間以内におさまるようにし、これを対象期間の法定労働時間とするものです。この平均時間を超えた場合、その超過分は時間外労働(残業)として扱われます。 

例)業務量が月初は少なく、月末は締め作業で忙しい企業では、次のように労働時間を調整できます。 

  • 月初:1日7時間勤務
  • 月末:1日9時間勤務 

このように、1か月単位で勤務時間を柔軟に設定できます。 

1週間単位の変形労働時間制

1週間の中で、1日最大10時間以内、1週間の合計が40時間以内となるようにシフトを作成できる制度です。ただし、この制度を導入できるのは、労働者が30人未満の小売業・旅館・料理店・飲食店のみです。40時間を超える週では、その超過分を時間外労働(残業)として扱います。それ以外の週では、1日8時間を超える労働時間のみが残業として扱われます。

例)
週末に忙しく、平日は比較的時間に余裕がある飲食店の場合、以下のようにシフトを組むことが可能です。 

  • 週末:1日9時間勤務 
  • 平日:1日7時間勤務 

1週間単位でメリハリのある労働時間を調整できます。 

フレックスタイム制とは

「フレックスタイム制」とは、労働者が業務の都合や生活スタイルに合わせて、始業・終業時刻を自身で決定できる制度です。従来の「9時から17時」 のように固定された労働時間ではなく、柔軟な働き方が可能になるため、近年注目されています。 

フレックスタイム制のしくみ

フレックスタイム制では、労使協定によって一定期間(最大1か月)の総労働時間を定め、その範囲内で労働時間を自由に調整します。この期間を「清算期間」と呼び、清算期間内の総労働時間が、週平均40時間を超えないようにする必要があります。

また、フレックスタイム制を導入する場合は、就業規則等で以下の内容を定める必要があります。 

  • コアタイム
    必ず出勤しなければならない時間帯 
  • フレキシブルタイム
    コアタイムの前後に設けられ、労働者が自由に出退勤できる時間帯 
  • 総労働時間
    清算期間内に労働する必要のある時間 

なお、フレックスタイム制では、コアタイムを設けずに、始業・終業時刻を完全に労働者に委ねることも可能です。ただし、多くの企業では、業務の円滑な遂行や従業員間のコミュニケーション確保のためにコアタイムを設定しています。 

フレックスタイム制の注意点

フレックスタイム制を導入していても、労働者が清算期間内の総労働時間を超えて働いた場合は、その超過分が時間外労働(残業)となり、割増賃金が発生します。 
逆に、労働時間が清算期間内の総労働時間に満たない場合は、労働者の給与が減額される可能性があります。

なお、労働基準法第60条の規定により、満18歳未満の年少者にはフレックスタイム制を適用できないため、注意が必要です。

【 労使協定とは 】

労使協定とは、労働者側と使用者側で、労働条件等について合意し、書面にまとめたものです。労働基準法では、労働条件は労使間で自由に決めることができるという原則(労働契約自由の原則)がある一方で、労働者を保護するために、最低限守らなければならない基準を定めています。

労使協定は、この最低基準を上回る労働条件を設定する場合や、法律で定められた手続きが必要な場合等に締結されます。 

日本におけるフレックスタイム制の導入状況

日本では、フレックスタイム制は1988年から導入されました。しかし、2024年度の時点で導入している企業は全体の7.2%程度にとどまり、まだ十分に普及しているとはいえません。

参照:
令和6年就労条件総合調査 結果の概況 – 厚生労働省 

みなし労働時間制①事業場外みなし労働時間制

営業職で外回りや出張等、事業場以外で働く労働者の中には、実際の労働時間を正確に算出することが困難な場合があります。

このような場合、「実際の労働時間」ではなく、「あらかじめ決められた時間分働いた」とみなす制度が適用されます。これを「事業場外みなし労働時間制」といいます。ただし、上司の綿密な指示の下で働いていたり、労働時間の算出が可能な場合にはこの制度を適用することはできません。

【 事業場外みなし労働時間制の適用要件 】 

  • 労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事していること 
  • 労働時間を算定することが困難であること 
  • 使用者の具体的な指揮監督が及ばないこと 

事業場外みなし労働時間制の種類

事業場外みなし労働時間制には、大きく分けて以下の2つのケースがあります。 

  • 所定時間分働いたとみなすケース: 
    労使協定は不要。就業規則に定めることで適用できます。
  • 通常その業務を遂行するのにかかる時間分労働したとみなすケース: 
    労使協定を締結する必要があります。 

事業場外みなし労働時間制における残業代の取り扱い

事業場外みなし労働時間制では、所定時間働いたとみなすため、原則として残業代の支払いは不要です。しかし、以下の条件を満たす場合は、時間外労働(残業)として割増賃金を支払わなければなりません。 

  • みなし労働時間が1日8時間(法定労働時間)を超える場合
  • 週40時間を超える場合(週単位でみなし労働時間を計算する場合)
  • 休日出勤や深夜残業を行った場合(適用される法律に基づき、割増賃金が必要) 

みなし労働時間制②裁量労働制

みなし労働時間制には「事業場外みなし労働時間制」のほかに、「裁量労働制」があります。裁量労働制では、実際の実働時間ではなく、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなし、賃金を支払う制度です。

この制度は、勤務時間の制限がなくなり、労働者の裁量で労働時間を管理できます。さらに、裁量労働制は次の2つに分かれます。

  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制 

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制は、高度な専門知識や技能を必要とし、業務の遂行の手段および時間配分の決定等に関して、使用者が具体的な指示をせず、労働者自身のペースで仕事を進めたほうが良いと考えられる特定の業務に適用されます。

対象となる業務を労使協定で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた時間労働したものとみなします。

【 専門業務型裁量労働制に該当する19の業務 】 

  1. 新商品や新技術の研究・開発、人文科学、自然科学に関する研究 
  2. 情報処理システムの分析や設計の業務 
  3. 新聞や出版における記事の取材・編集または放送番組の制作のための取材・編集 
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等のデザイン考案 
  5. 放送番組や映画等の制作事業におけるプロデューサーやディレクター 
  6. コピーライター 
  7. システムコンサルタント 
  8. インテリアコーディネーター 
  9. ゲーム用ソフトウェア創作 
  10. 証券アナリスト 
  11. 金融工学等の知識が必要な金融商品の開発 
  12. 大学における教授研究(主に研究に従事するもの) 
  13. 公認会計士 
  14. 弁護士 
  15. 一級建築士、二級建築士、木造建築士 
  16. 不動産鑑定士 
  17. 弁理士 
  18. 税理士 
  19. 中小企業診断士 

企画業務型裁量労働制

企業業務型裁量労働制は、企業の事業運営に関する企画、立案、調査、分析等の業務を適切かつ効率的に遂行するために、労働者が時間配分や業務を遂行する手段を決める必要がある業務を対象とする制度です。実際に働いた時間に関係なく、あらかじめ労使委員会で定めた時間数を働いたとみなします。 

【 企画業務型裁量労働制の対象となる業務 】 

  1. 業務が所属する事業場の事業運営や事業戦略に関するものであること 
  2. 企画、立案、調査および分析の業務であること 
  3. 業務遂行の方法を労働者の裁量に委ねる必要があると、客観的に判断できる業務であること 
  4. 業務の遂行手段および時間配分の決定等に関し、使用者が具体的な指示をしない業務であること。 

裁量労働制における残業代

裁量労働制では、労働時間の管理が労働者の裁量に委ねられていることから、「残業代は支払われない」と誤解されがちです。 しかし、裁量労働制であっても、労働基準法で定められた労働時間を超える労働や、深夜労働、休日労働に対しては、割増賃金の支払いが義務付けられています。

みなし労働時間が1日8時間を超える場合
裁量労働制では、労使協定または労使委員会の決議によって、あらかじめ1日の労働時間としてみなす時間(みなし労働時間)が定められます。 もし、このみなし労働時間が1日8時間を超える場合、8時間を超えた分については、残業代(割増賃金)の支払いが発生します。

例)みなし労働時間が1日9時間 → 1時間分の残業代を支給 

深夜労働(22〜翌5時)がある場合 
裁量労働制であっても、22時~翌5時の間の深夜時間帯に労働した場合には、深夜残業として割増賃金(通常賃金の1.25倍以上)の支払いが必要です。

休日労働がある場合
裁量労働制であっても、法定休日(週1日または4週4日)に労働した場合には、休日労働として割増賃金(通常賃金の1.35倍以上)の支払いが必要です。 

ただし、会社の規定による法定外休日は法定休日とみなされないため、労使協定等によってみなし労働時間として扱われる可能性があります。

裁量労働制は、労働者の自主性や創造性を活かし、効率的に業務を遂行することを目的とした制度ですが、導入にあたっては、対象業務の要件や手続きを厳格に遵守する必要があります。また、労働者と使用者が十分にコミュニケーションを図りながら、透明性の高い運用にしていくことが重要です。 

みなし残業とは

みなし残業とは、あらかじめ定めた残業時間とその残業代を、毎月の給与に含めて支払う制度です。 一般的にこの制度は、「固定残業代」や「定額残業代」とも呼ばれます。

また、みなし残業は、あらかじめ労使間で残業時間と残業代を合意し、その金額を毎月の給与に上乗せして支払うというしくみです。通常、みなし残業時間には上限が定められていませんが、36協定に基づく「月45時間・年間360時間」が一つの目安とされています。

【 固定残業代の計算例 】
たとえば、時給1,500円で、みなし残業時間(固定残業時間)が20時間、割増率1.25で設定する場合、固定残業代は以下のように計算されます。

1,500円×20時間×1.25=37,500円/1か月 

ただし、この制度では、実際の残業時間が設定されたみなし残業時間を超えた場合、その超過分に対して別途残業代を支払う必要があります。また、みなし残業時間内であっても、たとえば22時〜翌午前5時までの深夜勤務や休日出勤を行った場合には、割増賃金を支給する必要があるため、注意が必要です。 

労働基準法で定められた就業時間や働き方について正しく理解しよう

毎日忙しく働いていると、就業時間や労働時間の違い等、普段あまり意識せずに過ごしがちです。しかし、労働基準法は、労働条件の最低基準を定めることで、私たち労働者を守ってくれています。

自分の働き方や権利を守るうえでも、労働基準法で定められた就業時間や休憩、残業、休日、フレックスタイム制等についての正しい理解は欠かせません。この機会に、労働基準法の内容を正しく理解し、より良いワークライフバランスを実現を目指しましょう。 

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