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2025.5.2

借り上げ社宅制度とは?知って得するメリットとデメリット、導入時の注意点まで解説 

こんにちは!
働きがいを応援するメディア「ピポラボ」を運営するサイダス編集部です。

「家賃補助」「住宅手当」等、企業によって様々な制度がありますが、「借り上げ社宅制度」をご存知でしょうか。都市部で1人暮らしをする場合、家賃は一般的に年収の20%〜25%が目安とされています。しかし、近年ではこれを上回るケースが増えており、経済的な負担が大きくなっています。

昨今の家賃相場の上昇に伴い、従業員の住居費の負担を軽減する制度として注目されているのが「借り上げ社宅制度」です。しかし、その具体的な内容やメリット・デメリットまで理解している方は少ないのではないでしょうか。 

本記事では、借り上げ社宅制度の基礎知識から、会社員にとってのメリット・デメリット、導入時の注意点まで詳しく解説していきます。 

借り上げ社宅制度とは

借り上げ社宅制度とは、企業が一般の賃貸物件を借り上げ、従業員に社宅として貸し出す制度です。主に企業の福利厚生の一環として導入されており、従業員が住居費を抑えながら安定した住環境を確保できることから、多くの企業で採用されています。

従来の社宅制度では、企業が自社所有のビルの一部やマンション等を社宅として、従業員に貸し出していました。しかし、近年では、企業が市場の賃貸物件を借り上げ、従業員に提供する「借り上げ社宅制度」が増えています。

借り上げ社宅制度では、企業が従業員と不動産会社の間に立ち、契約や初期費用の支払い等を代行するため、従業員の負担が軽減されます。さらに、企業が家賃の一部または全額を負担するケースが一般的であり、経済的なメリットも大きいのが特徴です。 

借り上げ社宅制度と「住宅手当」「社有社宅」の違い

「借り上げ社宅制度」に関連する用語はいくつかありますが、特に「住宅手当」や「社有社宅」の違いが分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。ここでは、それぞれの用語の意味を具体的に比較します。 

借り上げ社宅制度と住宅手当の違い

「借り上げ社宅制度」と「住宅手当」は、どちらも企業が従業員の住居費をサポートする制度です、しかし、そのしくみに大きな違いがあります。

借り上げ社宅制度 
「借り上げ社宅制度」は、企業が賃貸物件を借り上げ、従業員に社宅として貸し出す制度です。そのため、企業が住居の契約者となり、家賃を支払います。従業員は、企業に対して設定された家賃を支払います。 

住宅手当 
「住宅手当」は、企業が従業員の住居費の一部を補助する制度です。そのため、従業員自身が住居の契約者となり、家賃を支払います。企業は、従業員が支払った家賃の一部を給与に上乗せして支給します。 

 借り上げ社宅制度 住宅手当 
契約者 企業 従業員 
家賃 会社が家賃を全額支払い、
 一部を従業員の給与から 徴収する 
従業員が家賃を支払い、 
企業が一部支給する 

借り上げ社宅の初期費用にはどんなものがある?

借り上げ社宅に入居する際にも、一般の賃貸住宅と同様に初期費用がかかります。ただし、物件や契約内容によって必要な費用は異なり、必ずしもすべての費用が発生するわけではありません。

1. 敷金

敷金とは、部屋の損傷や家賃滞納に備えて、入居時に貸主に支払う保証金のことです。 

通常生活の中での損耗や劣化は原状回復の義務はありませんが、不注意または故意による損傷があった場合には修繕義務が発生し、敷金から補填されます。一般的に退去時に、原状回復費等を差し引いた金額が返還されます。 

2. 礼金

礼金は、賃貸借契約の締結に対する謝礼として、入居時に貸主に支払う費用です。そのため、敷金と異なり、原則として退去時の返還はありません。 

契約時に敷金が不要で、礼金のみかかる物件の場合には、原状回復費用等が退去時に発生する可能性があるため、契約内容を事前に確認しておきましょう。 

3. 前家賃

前家賃とは、入居月の家賃翌月分の家賃を、賃貸契約時に前もって支払うことを意味し、月の途中からの入居の場合は、日割り計算されることが一般的です。ただし、物件によって異なるため、借りる際には不動産会社や仲介業者に確認しましょう。 

4. 管理費・共益費

管理費・共益費は、マンション等の集合住宅において、建物の維持管理や共用部分のサービス提供に充てられる費用です。具体的には、廊下や階段等の清掃、エレベーターや設備の点検・修理、ゴミ置き場の管理等に使用されます。

物件や契約によって異なりますが、一般的に、管理費・共益費は家賃とは別に毎月支払う必要があります。また、賃貸借契約によっては、前家賃と同様に、入居時に1か月〜2か月分をまとめて「前管理費」「前共益費」として支払う場合もあるため、注意が必要です。 

5. 仲介手数料

仲介手数料とは、不動産会社が賃貸借契約を仲介する際に発生する手数料です。 仲介手数料の上限は、宅地建物取引業により、家賃1ヶ月分(賃料の1ヶ月分)+消費税と定められています。 
この手数料は、貸主と借主の双方から受け取ることが可能で、たとえば、貸主から0.5ヶ月分、借主から0.5ヶ月分を受け取ることができます。

ただし、取引が成立したことに対する成功報酬なので、物件の賃貸借の仲介を依頼したものの、賃貸借契約が成立しなかった場合は支払う必要はありません。 

6. 火災保険料

火災保険とは、火災のほか、台風や大雨等の自然災害、盗難等によって被害を受けた際に補償を受けるための保険です。火災保険への加入は任意ですが、賃貸住宅の中には、賃貸借契約の条件で火災保険への加入が必須となっている場合があります。保険料は契約期間分をまとめて支払うことが一般的です。 

7. 保証料

保証料とは、家賃滞納等に備え、入居者の家賃を保証する保証会社に支払う費用です。万が一、賃借人が家賃を滞納した場合には、保証会社が家賃を立て替えて大家に支払います。

一般的に、賃貸借契約を締結する際には「連帯保証人」を立てるよう大家や管理会社から求められますが、保証会社に加入するケースも増えています。

保証会社を利用する際にかかる相場は、保証会社によって異なりますが、概ね家賃の50%〜100%程度です。 

8. 鍵の交換費用

退去時には鍵の返却を行いますが、前の入居者が合鍵を作っている可能性もあります。そのため、新規入居の際には、セキュリティ確保のために、鍵を交換することが一般的です。鍵の交換にかかる費用の相場は初期費用として1〜2万円程度です。 

9. 引越し費用

引越し費用とは、引越し業者を利用する際にかかる費用です。引越し費用は、距離や荷物の量により異なり、特に引越しの多い3〜4月は価格が高騰します。なお、引越し業者により代金の違いが大きいため、複数社から見積もりを取ることがおすすめです。 

借り上げ社宅の初期費用は会社負担?自己負担? 

賃貸住宅を借りる際の初期費用は、一般的に家賃の4〜5ヶ月分が目安となり、まとまった資金が必要になります。借り上げ社宅制度では、基本的には企業が法人契約を結ぶため、初期費用も会社が負担するケースが多くなっています。

企業にとって、従業員の住居支援は、優秀な人材を獲得・定着に向けた重要な投資と考えられています。初期費用を企業が負担することで、従業員の経済的な負担を軽減し、安心して就業できる環境を提供する狙いがあります。

ただし、法律上、企業に初期費用の負担義務はありません。そのため、企業によっては、社宅管理規定等で初期費用の一部を従業員が負担するケースもあります。借り上げ社宅制度を新たに導入する際には、トラブル回避のため、企業側は社宅管理規定を整備し、初期費用の負担ルールを明確にして従業員に周知することが重要です。また、従業員側も事前に会社に確認し、不明点を解消しておくようにしましょう。 

借り上げ社宅制度のメリット

企業が従業員のために賃貸物件を借り上げ、社宅として提供する「借り上げ社宅制度」は、従業員の住居にかかる経済的負担を軽減するだけでなく、企業側にも様々なメリットがあります。ここでは、企業と従業員の双方にとっての「借り上げ社宅制度」のメリットについて詳しく解説します。 

企業側のメリット

1. 節税効果 
借り上げ社宅制度によって、企業は節税効果を得ることができます。企業が借り上げ社宅の家賃を負担する場合、その費用は福利厚生費または賃借料として経費計上ができるため、法人税の負担抑えることができます。

ただし、従業員の負担額が適正賃貸料の基準を満たしていない場合、差額部分が給与とみなされる可能性があります。この場合、所得税や社会保険料の算定対象となるため、注意が必要です。国税庁が定める「適正賃貸料の計算方法」に基づき、従業員の適正な負担額を設定することが重要です。 

2. 従業員エンゲージメントの向上 
従業員にとって、家賃負担の軽減は大きなメリットであり、特に若い従業員や家族を持った世代から支持を集めることができます。借り上げ社宅制度によって従業員の満足度が高まり、モチベーション向上や従業員の定着率の向上に繋がります。

また、会社へのアクセスがいい立地に社宅を備えることで、通勤負担を減らし、働きやすい環境が整い、仕事へのモチベーション向上が見込まれることも多く、結果的に生産性も高まり、業績にもいい影響が出るといった好循環が期待できます。 

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従業員側のメリット

1. 手続きの負担が少ない 
通常の賃貸契約では、物件探しから契約手続き、敷金・礼金等の初期費用支払いまで、多くの時間と労力がかかります。入社や転勤等の忙しい時期に、これらの手続きを行うのは、大きな負担となります。

一方、借り上げ社宅制度では、企業が手続きを代行するため、従業員の負担は大幅に軽減されます。また、家賃の支払いも企業が代行するケースが多く、個別の振り込み手続きを行う必要がありません。 

2. 初期費用の負担が抑えられる 
借り上げ社宅制度の場合、敷金・礼金・仲介手数料等の初期費用を契約者である企業が負担するのが一般的です。賃貸契約の場合、初期費用は、家賃の4〜5か月分に相当すると言われており、その費用を個人が支払わずに済むのは、従業員にとっては大きな負担軽減となります。

ただし、企業によっては、一部の費用を従業員が負担することが求められる場合もあるため、事前に社内規定を確認するようにしましょう。 

3. 家賃や更新料の負担が軽減される 
借り上げ社宅は、個人で賃貸契約を結ぶよりも家賃負担を軽減できる可能性が高いです。企業が借り上げ社宅制度を導入する際、従業員が支払う家賃の一部または全額を補助するのが一般的です。そのため、従業員は残りの自己負担分のみを支払えば良く、家賃負担を大幅に抑えられます。

また、法人契約による割引き等で通常よりも優遇された条件で入居できたり、契約更新時に発生する更新料を企業が負担するケースがあります。 

4. 所得税の節税効果
借り上げ社宅制度は、従業員にとっても節税効果があります。 住宅手当を支給する場合、それは給与としてみなされるため、所得税や住民税、社会保険料の課税対象になります。

一方で、借り上げ社宅制度を利用する場合、従業員の家賃負担額が「適正賃貸料の範囲」で設定されていれば、その分は課税対象の給与に含まれない扱いとなることがあります。その結果、従業員の標準報酬月額(※補足参照)が下がり、社会保険料の負担が軽減される可能性があります。 

【補足:標準報酬月額とは】
標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険等の社会保険料の計算基準となるものであり、基本給のほか、通勤手当・残業手当・住宅手当等の各種手当も含まれます。

標準報酬月額は、毎年4月から6月に支払われた報酬の平均額を基に算出され、その年の9月から翌年の8月までの1年間、保険料計算に使用されます。また、標準報酬月額は、報酬額に応じて等級ごとに区分されます。 

さらに、昇給によって給与が増えると、住宅手当がある場合には、その分社会保険料の負担が増え、手取り額が減ってしまう可能性があります。しかし、借り上げ社宅制度は、給与から家賃の一部が徴収されるため、昇給しても標準報酬月額が必要以上に上がらず、手取り額の減少を抑えることができるというメリットもあります。 

【例:住居費が月5万円の場合 】 

 借り上げ社宅制度 住宅手当 
給与への影響 ± 0円 + 5万円 
税金・社会保険料 非課税 課税 
昇給時の社会保険料 増加なし 増加の可能性あり 

借り上げ社宅制度のデメリット

借り上げ社宅制度は、従業員の住居費負担を軽減し、優秀な人材確保に繋がる等、企業と従業員の双方にとって魅力的な制度です。ただし、導入する際には、いくつかのデメリットや注意点についても十分に理解しておく必要があります。ここでは、企業と従業員の双方にとっての「借り上げ社宅制度」のデメリットについて詳しく解説します。  

企業側のデメリット 

1. 違約金や追加費用が発生する可能性がある
企業が不動産会社と物件の長期賃貸借契約を交わした場合、予想外の費用が発生する可能性があります。長期賃貸借契約では契約年数が決まっており、従業員が入居していなくても家賃を支払ったり、解約時に高額な違約金を請求されたりすることも少なくありません。

また、通常なら物件に住む人が負担する敷金や礼金、退去時の原状回復費用等も、企業が負担しなければならないケースがほとんどです。 

2. 事務手続きの負担が発生する
借り上げ社宅制度を導入すると、企業側は以下のような事務作業を行う必要があります。 

  • 住宅賃貸の契約、更新、解約手続き 
  • 家賃の支払管理 
  • 従業員の異動に伴う住居の調整 

借り上げ社宅制度を利用する従業員が多いほど、契約手続きや支払手続き等の事務的な手間も増えるため、本来の業務の生産性が低下する恐れがあります。そのため、社宅管理の専門部署を設置する、または外部の管理会社に委託する等の対策が求められます。 

従業員側のデメリット

1. 住居の自由度が制限される
借り上げ社宅制度では、企業が契約する不動産会社やエリア、間取り等に制限があるため、希望通りの物件に住めるとは限りません。社員寮と比べると、ある程度物件の選択肢は増えるものの、自由に住居を選びたい人にとっては、大きなデメリットとなるでしょう。 

2. 社会保険料が安く済む場合、将来的な社会保障給付額が減る可能性がある 
借り上げ社宅の家賃補助は、給与として課税されないため、社会保険料の算定基礎となる報酬額に加算されません。そのため、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額が減ることで、社会保険料の負担が軽減される可能性があります。ただし、次の点に注意が必要です。 

  • 社会保険料が必ずしも安くなるとは限らない 
    標準報酬月額は一定の等級ごとに決まるため、給与の減少幅によっては影響が生じない場合もあります。
  • 現物給与として扱われるケースでは、逆に社会保険料が増える可能性もある 
    社宅の提供方法によっては、家賃相当額が現物給与として報酬額に含まれる場合があり、結果として社会保険料が増えることもあります。 

【補足:現物給与とは】 

現物給与とは通貨以外で与えられる給与のことです。食事・ユニフォーム・通勤定期をはじめ、社宅・寮・会社の商品・製品等があげられます。また、自社製品を割引価格で購入できる権利や、社員食堂も現物給与です。

現物給与は、所得税法上、無償または通常価格より著しく低い価格で財産やサービスが提供された場合、その差額分が給与所得として課税対象となる場合があります。 

社会保険料は、公的年金や健康保険、雇用保険等の社会保障制度の財源となり、給付の基礎となるものです。仮に社会保険料が減る場合、短期的な視点で考えると手取り額が増えるメリットがあります。

しかし、長期的な視点で考えると、将来的に受け取れる年金や医療保険、雇用保険等の給付額が減る可能性があります。借り上げ社宅を利用する際には、そのような将来設計も視野に入れて、慎重に検討するようにしましょう。 

3. 退職時に退去しなければならない 
借り上げ社宅は、あくまで企業と不動産会社の契約に基づいて従業員が居住しているため、企業を退職すれば、原則として退去を求められます。また、退去時には新たな住居を探し、自己負担で引越しをしないといけないため、時間的・経済的な負担が大きくなります。

そのため、退職後のライフプランも考慮し、借り上げ社宅制度を利用するかどうか判断する必要があります。 

借り上げ社宅制度を導入する際の注意点

借り上げ社宅制度は、企業にとって節税効果や採用力強化等のメリットがある一方で、導入や運用には注意すべき点もいくつかあります。事前にしっかりとルールを定め、適切な運用を行うことが、トラブル防止と制度の有効活用に繋がります。 

【 トラブル回避のために知っておきたい4つのポイント 】 

  1. 賃貸借契約は企業が行う
  2. 光熱費は従業員が支払う 
  3. 社宅規定を作成する
  4. 賃料相当額の把握と設定 

1. 賃貸借契約は会社が行う

借り上げ社宅制度では、企業が不動産会社と直接賃貸借契約を結ぶことが必須条件です。従業員名義の契約では、企業が家賃の一部を負担していても借り上げ社宅とは認められません。 

  • 敷金・礼金、火災保険料等を従業員が支払っている場合は、法人契約と見なされない可能性があります。 
  • 借り上げ社宅と認められない場合、企業が負担する家賃は給与とみなされ、課税対象となります。 

2. 光熱費は従業員が負担する

借り上げ社宅制度は、あくまで住居費の負担を軽減するものであり、水道光熱費等の生活費は対象外です。従業員には、光熱費を自己負担するルールを周知しておきましょう。 

  • 企業が水道光熱費を負担すると、給与とみなされ、税金や社会保険料の対象となる可能性があります。 

3. 社宅規定を作る

借り上げ社宅制度を円滑に運用するためには、トラブル防止のために明確な社内規定を作成しルールを従業員に周知することが重要です。 

【 規定に盛り込むべき項目例 】 

  • 家賃の負担割合(会社・従業員)
  • 入居資格(家族構成、役職等)
  • 退去条件(転勤、退職等)
  • 費用負担(修繕費用等)
  • 禁止事項(無断転貸、ペット飼等)
  • 違反時のペナルティ 
  • 社内規定は就業規則の一部として労働基準監督署への届出し、従業員への周知を徹底しましょう。 
  • 就業規則に記載することで、法的効力が発生し、トラブル発生時の解決をスムーズに行いやすくなります。 

4. 賃料相当額の把握と設定

賃料相当額とは、企業が従業員や役員に借り上げ社宅を提供する際、その使用料として適切とされる金額を指します。企業が借り上げ社宅を提供する場合、従業員から賃貸料相当額の50%以上を徴収することで、企業の負担分を経費として計上し、節税効果を得ることが可能です。 

賃貸料相当額の計算方法 
賃貸料相当額は、以下の計算式で算出されます。

賃料相当額 =
(その年度の建物の固定資産税の課税基準額)× 0.2%
+ 12円 × (その建物の総床面積(㎡) / 3.3㎡)
+ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額) × 0.22% 

これらの数値は、固定資産税の課税明細書や固定資産課税台帳を確認することで取得できます。たとえば、以下の条件の社宅の場合、賃貸料相当額は次のように計算されます。 

【 例:建物の固定資産税課税標準額が200万円・
 敷地の固定資産税課税標準額が300万円・ 総床面積が22㎡の場合 】 

 内容 計算式 実際の計算 
A 建物の固定資産税に基づく金額 建物の固定資産税課税標準額 × 0.2% 200万円 × 0.2% = 4,000円 
B 建物の床面積に基づく金額 12円 × (その建物の総床面積(㎡) / 3.3㎡) 12円 ×(22㎡/3.3㎡)= 80円 
C 敷地の固定資産税に基づく金額 (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額) × 0.22% 300万円 × 0.22% = 6,600円 

賃貸料相当額 = A + B + C とすると、賃貸料相当額は10,680円となります。

企業が負担する家賃が給与と見なされないためには、従業員から賃貸料相当額の50%以上を徴収する必要があります。 上記の例では、賃貸料相当額が10,680円のため、従業員は少なくともその50%である5,340円以上を負担する必要があります。 

ただし、看護師や守衛等、仕事を行う上で勤務場所を離れて住むことが困難な使用人に対して、仕事に従事させる都合上社宅や寮を貸与する場合には、無償で貸与しても給与として課税されません。 

参照: 
No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき – 国税局 

まとめ

借り上げ社宅制度は、従業員にとっては住居費負担の軽減、企業にとっては優秀な人材獲得の強力な武器となる等、メリットがたくさんある魅力的な福利厚生です。

しかし、賃料設定や税務上の注意点等、知っておくべきポイントを押さえずに導入してしまうと、思わぬ損失に繋がる可能性もあります。

専門家のサポートを受けながら、会社と従業員の両者にとってメリットが最大になるよう、最適な制度設計を行いましょう。 

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