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2019.8.21

働き方改革実現のため変形労働時間制を導入しよう!定義や申請方法を紹介

深刻な人手不足や社員の過剰労働時間などが社会問題となっている状況を受け、国をあげて「働き方改革」が推進されています。特に、労働時間の改革はどの企業も積極的に注力していることもあり、大きく改善されつつあります。その中で注目を集めているのが、「変形労働時間制」という労働形態です。ここでは変形労働時間制の定義や、導入の方法について紹介します。

変形労働時間制とは

変形労働時間制とは、労働時間を月単位や年単位で調整する労働時間制度です。1週間当たりの労働時間は、1日8時間または、1週40時間と労働基準法により定められています。週法定労働時間を超えると、時間外労働と見なされ、残業代を支払わなければいけません。一方、変形労働時間制の場合、1週間単位や1カ月単位、1年間単位で労働時間を調整します。そのため、トータルの労働時間が既定の範囲内におさまっていれば、週40時間または1日8時間を超えていても、時間外労働にはなりません。変形労働時間制は繁忙期と閑散期がはっきりしている会社で導入されることが多く、従業員に無理のない形で労働時間を柔軟に調節できる制度として注目されています。

変形労働時間制と他の制度との違い

労働時間の規定には、変形労働制のほかにも、みなし労働時間やフレックスタイム制、裁量労働制などの種類があります。いずれも変則的な労働形態ですが、変形労働制とは異なる点も多いです。それぞれの特徴を把握したうえで、職場の環境に合った労働時間制度を導入しましょう。

みなし労働時間制との違い

みなし労働時間制とは、あらかじめ会社が規定した時間だけ働いたとみなしたうえで、賃金を支払う労働制度のことです。出張や外回りが多い営業職や在宅勤務など、正確な労働時間の算出が難しいケースに使われます。ただし、3つの条件を満たしていなければ、みなし労働時間制は適用されません。1つめは、業務を行う従業員の中に、時間管理者が含まれていないことです。2つめに、携帯電話など、雇用者からの支持を得られる手段がないことが挙げられます。3つめの条件が、帰社時刻や訪問先について会社から具体的な指示を受けていないことです。なお、みなし労働時間制を導入している場合も、時間外労働の手当てを支払う義務は生じます。

フレックスタイム制との違い

フレックスタイム制とは、始業時刻と終業時刻を従業員が自由に決められる労働形態です。働く時間帯をフレキシブルタイムとコアタイムに分け、コアタイムに出勤していれば、いつ出退社しても問題はありません。1週間の労働時間が40時間を超えた場合は、時間外労働手当が支給されます。フレックスタイム制の大きなメリットは、通勤ラッシュの時間帯を回避して通勤ができたり、退社後の余暇を有意義に過ごせたりなど、多様なライフスタイルに対応できる点です。ただし、時間に縛られない代わりに、自分で働く時間帯や労働時間を管理しなければいけません。そのため、従業員一人ひとりが自己管理能力と責任感を持たないと、仕事が回らなくなってしまうリスクがあります。

裁量労働制との違い

裁量労働制とは、みなし労働時間制の1つで、実際の労働時間ではなく会社と契約した労働時間で、給与や労働時間を計算する方法です。裁量労働制に大きく分けて専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2種類があります。専門業務型裁量労働制とは、デザイナーや研究開発者などの専門性が高い仕事や、労働時間の配分や業務を遂行するための手段を具体的に指示できない職種に適用される制度です。一方、企画業務型裁量労働制は各部署の管理職者や企画業務などを担当する従業員に適用されます。

変形労働時間制が導入され始めた背景

変形労働時間制が注目され始めた背景として、労働時間の超過による過労死といった社会問題が挙げられます。変形労働時間制は子育てや介護、自己啓発といった生活上のニーズと仕事を両立させるために有効な制度です。より効率的な働き方を可能にするため、労働制度の見直しを図っている企業から注目を集めています。2018年に厚生労働省が行った「平成30年就労条件総合調査」によると、変形労働時間制を採用している企業の割合は、企業規模計で60.2%にも及びました。

変形労働時間制が適用される条件

変形労働時間制はどのような会社でも必ず導入できるとは限りません。変形労働時間制を適用するには、法律で定められた条件を満たす必要があります。変形労働時間制の導入を検討するのであれば、まずは適応期間別の概要と導入条件を把握しておきましょう。

1年単位

1年単位の変形労働時間制とは、対象期間内の平均労働時間が1週間あたりの法定労働時間を超えなければ、特定の日または特定の週に法定労働時間を越えた労働をさせることができるという制度です。対象期間は1カ月から1年以内の範囲で設定します。閑散期は労働時間を短く、繁忙期は長めにするなど、労働時間にメリハリをつけることで、年間を通した労働時間の短縮が可能です。一方で、業務の繁閑ははっきりしない部署や職種では、あまり変化が期待できない可能性があります。

制度の概要

1年単位の変形労働時間制では、労働者に過重労働をさせることがないよう、労働日数や労働時間、連続労働日数の上限が決められています。まず、対象期間が3カ月以上の場合、労働日数の上限は1年につき280日までです。また、法律により年間の休日は85日以以上と定められていますが、変形労働時間制の対象期間が3カ月以内であれば、この限りではありません。労働時間の上限は1日につき10時間、1週間あたり52時間までと定められています。ただし、職種によっては労働時間の上限が変わるケースもあるので、必ず条件を確認しておきましょう。たとえば、隔日勤務のタクシー運転手の場合は1日16時間まで労働が可能です。連続労働日数は最大6日までです。なお、特定期間がある場合は、最長12日まで連続で働くこともできます。

導入時に定めること

1年単位の変形労働時間制を導入する場合、労使協定を締結したうえで、労働基準監督署長まで届け出る必要があります。労使協定では変形労働時間制の対象となる労働者の範囲や、対象期間と起算日、対象期間の労働日と労働時間などを定めなければいけません。また、繁忙期など労働時間が法定労働時間を超える特定期間、労使協定の有効期間も決める必要があります。労働者が10人を超える事業所の場合、労使協定で締結した内容は、就業規則へ記載しなければいけません。内容を加筆あるいは修正した就業規則も、所轄労働基準監督署長へ提出する義務があるので注意しましょう。

1カ月単位

1カ月単位の変形労働時間制では、対象期間を1カ月以内に定めます。期間内の平均労働時間が週40時間を超えなければ、特定日または特定週に法定労働時間を越えた勤務が可能という点は、1年単位の変形労働時間制と共通しています。ただし、事業の内容や事業所の規模によっては、例外的に平均労働時間が変化する場合もあるので注意しましょう。1カ月単位の変形労働時間制は、月初は余裕があり、月末になると忙しくなるなどの部署や業種に適した制度です。

制度の概要

1カ月単位の変形労働時間制を導入する会社は、該当する労働者に対し、各日や各週の労働時間を具体的に通知しなければいけません。通常の勤務であれば、1週間あたりの平均労働時間は40時間です。ただし、事業の内容が商業や映画・演劇業、接客娯楽業、保健衛生業に相当し、常時使用している従業員が10人未満の事業所は、特例措置対象事業場にあたります。特例措置対象事業場の平均労働時間は、1週間あたり44時間と、通常の事業所と異なるので気を付けましょう。

導入時に定めること

1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入する場合も、やはり労使協定の締結が必要です。まず、変形労働時間制の対象期間を1カ月以内で定め、変形期間の決算日や日ごと、週ごとの労働時間を決定します。また、変形期間内でも、1週間週あたりの平均労働時間が法定労働時間を超えないよう定めなければいけません。法定労働時間の上限は、40時間×変形期間の暦日数÷7で計算することができます。最後に、労使協定の有効期間を決定したうえで、所轄の労働基準監督署長まで届け出ましょう。

1週間単位

1週間単位の変形労働時間制は、1日ごとに繁閑の差が激しく、1日あたりの労働時間を特定するのが難しい会社や、小規模事業に携わる会社へ向けた制度です。このような会社が1週間単位の変形労働時間制を取り入れることにより、1日あたり10時間まで従業員を働かせることができるようになります。ただし、常時使用する従業員の数や対象となる事業など、厚生労働省が定める条件を満たしていなければ適用できません。

制度の概要

1週間単位の変形労働時間制を導入する場合、会社は該当労働者に対し、各日の労働時間を通知する義務があります。ただし、この制度を導入するには、厚生労働省が定める3つの条件を満たしていなければいけません。1つめは、毎日の業務における繁忙・閑散の差が激しいことです。ただし、1週間や1カ月程度の短い期間ではなく、長期間にわたって頻発しているケースでなければ、非定型的変形労働時間制は適用されません。さらに、毎日の労働時間を定めることが難しい状態であると、厚生労働省から認められる必要があります。最後に、小売業か旅館、料理店、飲食店のいずれかに携わっており、常時雇用の労働者数が30人未満の事業所でなければ、1週間単位の変形労働時間制を採用することはできません。

導入時に定めること

1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入する際は、まず1週間の所定労働時間と、1日ごとの所定労働時間を定めなければいけません。また、日ごとの始業時刻と終業時刻、休憩時刻の書面通知方法のほか、休日の指定や割増賃金の支払い、対象労働者の範囲についても決める必要があります。これらの条件を定めたうえで労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長まで届け出ましょう。また、労使協定で締結した内容を就業規則に記載するのも忘れてはいけません。

変形労働時間制の残業代

たとえ変形労働時間制を採用していても、事前通知により告知された時間を越えて労働した場合は残業代が発生し、支払いの対象となります。適切な残業代を支払わなかった場合、変形労働時間制は無効とみなされ、法定労働時間に従った残業代や割増賃金を支払わなければいけません。ただし、変形労働時間制を導入している状態で残業代を支払う場合、決まったルールに則ったうえで算出する必要があります。変形労働時間制を適切に運用するためにも、残業代を算出する際のルールと、残業代を支払う必要があるケースについて理解しておきましょう。

残業代のルール

変形労働時間制には1カ月単位と1年単位、1週間単位の3種類があります。しかし、残業となる時間の概念はそれぞれ異なり、時間外労働の時間や残業代を算出する方法も違うので注意しましょう。1カ月単位の変形労働時間制は、1日ごとの労働時間と1週間あたりの労働時間、1カ月間の労働時間をそれぞれ計算し、残業代が発生するかを判断します。一方、1週間単位の非定型的変形労働時間制は、1日ごとの労働時間と1週間あたりの労働時間を計算し、時間外労働にあたる時間を特定します。1年単位の変形労働時間制の場合、1日ごとの労働時間と1週間あたりの労働時間のほか、1年間の労働時間も計算しなければいけません。

残業代が出るケース

変形労働時間制で残業代が出るケースは、大きく2つのパターンに分かれます。1つめは、あらかじめ会社が定めた時間を超えて労働した場合です。2つめは、会社が変形労働時間制の条件を満たしていなかった場合に、残業代を支払う義務が生じます。トラブルを防ぐためにも、残業代が出るケースの具体例や詳細について確認しておきましょう。

定めた時間を超えた労働

変形労働時間制では、たとえ特定期間であっても、会社が定めた時間を上回る労働を行った場合、残業代が発生します。1週間単位の変形労働時間制の場合は、1日10時間以上、週40時間以上の労働に対し、残業代を支給しなければいけません。1カ月単位の変形労働時間制であれば、特定期間以外に1日8時間以上、週40時間以上の労働を行った場合に残業代が支給されます。1年単位の変形労働時間制なら、特定期間でも特定期間外でも残業代が発生するので注意しましょう。特定期間は1日10時間以上、週52時間以上の労働に対して、残業代を支払わなければいけません。特定期間外は1日8時間以上、週40時間以上の労働に対し、残業代を支払うことになります。

条件を満たしていない

変形労働時間制を運用するには、あらかじめ所定労働時間を対象者に告知するなど、複数の条件を満たしている必要があります。しかし、条件を満たしていなかった場合、変形労働時間制を正しく導入していないとみなされ、無効になってしまうことがあるのです。残業代が未払いだった場合も、変形労働時間制が適切に運用されていないと判断され、無効になる可能性があるので注意しましょう。変形労働時間制が無効になった場合、法定労働時間である1日8時間、週40時間の原則に従って労働時間を計算し、時間外労働に対し残業代を支払わなければいけません。

変形労働時間制の有給処理

有給処理は残業代と同じく、判断に迷うことが多い手続きです。もちろん、変形労働時間制を導入している会社でも、有給は付与されます。月給制や日給制をとっている場合、日ごとの所定労働時間が違っていたとしても、賃金は同じです。有給休暇期間中も同様に、賃金は発生します。しかし、時間給の場合、有給取得中の賃金をどのように算出すれば良いのか分からないというケースもあるでしょう。賃金の算出方法には3つのパターンあります。実際に変形労働時間制を導入したときに迷わないためにも、有給取得中の賃金の算出方法について把握しておきましょう。

平均賃金

有給休暇取得中の賃金を計算する方法の1つが、平均賃金を算出する方法です。平均賃金とは労働基準法第12条に定められており、過去3カ月の間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額のことを指します。平均賃金なら日ごとの所定労働時間の違いに関係なく、一律の金額を算出できます。従業員にも算出方法を分かりやすく説明できるでしょう。一方で、有給処理を行うたびに平均賃金を算出する必要があるため、処理を行う部署や従業員に負担をかけてしまう可能性が高いです。

通常の賃金

2つめの方法は、各日の所定労働時間労働に応じた賃金を算出する方法です。有給休暇を取得する日の所定労働時間をもとに、賃金を算出します。算出方法としては最もシンプルで分かりやすい方法です。ただし、この方法で算出すると、有給休暇を取得する日の所定労働時間によって賃金が変わります。そのため、従業員にとっては、所定労働時間が長い日に有給休暇を取得した方が得です。このような損得勘定が生じた結果、特定の日に有給休暇を取得する従業員が集中してしまう可能性もあるので注意しましょう。

標準報酬日額に相当する金額

3つめは、健康保険法第3条により定められている、標準報酬日額に相当する金額を算出する方法です。標準報酬日額を元に計算すれば、平均賃金と同様、所定労働時間の違いに関わらず一律の賃金を算出できます。ただし、この方法を採用するには、労使協定による定めが必要です。さらに、定時改定や随時改訂により労使協定の内容が変わることがあれば、その都度見直さなければいけません。また、算出基礎額が各種手当なども含めた固定賃金となるため、同じ給与体系でも金額に差が出る場合があります。

変形労働時間制導入のメリット

変形労働時間制は導入するための条件が多く、複雑に感じる人も多いでしょう。しかし、適切に導入できれば、大きなメリットを生む制度でもあります。ここでは変形労働時間制の大きなメリットを2つ紹介します。

繁閑に合わせた時間の配分

1つめのメリットは、従業員の勤務時間を、会社の繁閑に合わせることができるという点です。たとえば、閑散期で人手が足りている時期は、勤務時間を短縮できるので、無駄な人件費を払う必要はありません。万が一、1日の労働時間や1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超えてしまうことがあっても、閑散期に労働時間を短縮しておけば、所定時間内におさめることも可能です。対象期間の労働時間が所定時間内であれば、残業代を支払わずに済みます。

ワークライフバランス向上

2つめのメリットは、従業員のワークライフバランス向上につながるという点です。変形労働時間制を導入すれば、繁忙期は長く働き、閑散期は早めに退社するなど、メリハリのある働き方ができます。労働時間がある程度自由に選択できるようになれば、育児や教育に時間を割く余裕も生まれるでしょう。結果として、社員のスキルアップや社員満足度の向上につながり、会社環境の改善や離職率の低下といった良い影響も生まれます。

変形労働時間制導入のデメリット

変形労働時間制はメリットが大きい一方で、デメリットも存在します。導入後のトラブルを防止するためにも、変形労働時間制のメリットだけではなく、デメリットも把握しておきましょう。

労働日や労働時間を変更できない

変形労働時間制は、あらかじめ労働日や労働時間を決めたうえで、対象となる労働者に通知しなければいけません。そのため、緊急の業務依頼が入っても、即時に対応できないというデメリットが生じます。場合によっては会社の損失や、信頼の低下につながる可能性もあるでしょう。

複雑で様々な管理体制が必要

変形労働時間制を導入した場合、会社が事前に具体的な労働日や労働時間を決め、労働者へ提示しなければいけません。さらに、従業員のスケジュールや労働時間を正確に把握するために、より煩わしい事務作業を行う必要があります。会社によっては管理体制を大幅に強化しなければ、変形労働時間制を適切に運用するのは難しいでしょう。

変形労働時間制を導入する方法

変形労働時間制を導入するには、いくつかの手続きを踏まなければいけません。まずは会社と従業員の間で取り決めを行い、書面で契約を締結します。その後、必要書類を所轄の労働基準監督署に提出し、ようやく変形労働時間制が適用されるのです。変形労働時間制の導入を検討しているのであれば、締結する書面の内容や提出しなければならない書類について確認しておきましょう。

労使協定書を締結する

変形労働時間制を導入するにあたり、まずは労使協定書を締結しなければいけません。労使協定とは、事業所で働く労働者の代表者、もしくは過半数の労働者で構成された労働組合と会社との間で結ばれる協定のことです。なお、代表者は事業所で働く労働者のうち、過半数の支持を集めなければいけません。協定は書面で交わされ、法律により定められた義務を免除したり、免除による刑罰を免れたりする効力があります。

就業規則に準ずる書面を提出する

労使協定書を締結した後は、就業規則または就業規則に準ずる書面を作成し、従業員へ提出します。就業規則に準ずる書面とは、就業規則に相当する内容を記載した書面です。従業員が常時10人未満の会社は、就業規則を作成したり、提出したりする義務はありません。しかし、変形労働時間制を導入する際は、就業規則の整備を行い、就業規則に準ずる書面を作成・提出する義務が生じます。従業員数が常時10人以上の会社は、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出なければいけません。

変形労働時間制と36協定届を提出する

変形労働時間制を導入する際は、労使協定だけではなく36協定届も提出する必要があります。36協定届は、残業や休日労働など法定労働時間を超えて働く労働者が1人以上存在する会社であれば、必ず提出しなければいけません。変形労働時間制を導入する際、時間外労働や休日労働が生じる可能性があれば、36協定の締結と届出も同時に行いましょう。

変形労働時間制を導入する注意点

変形労働時間制はどのような会社や従業員でも導入できるとは限りません。導入する部署や従業員の属性によっては、注意が必要です。まず、15歳以上満18歳未満の未成年者に適用する場合、1カ月単位と1年単位の労働時間は1日8時間、1週間あたり48時間と決まっています。また、妊産婦から請求があった場合、変形労働時間制を適用したり、時間外労働や休日労働をさせることもできないので注意しましょう。ただし、年配者に対して変形労働時間制を適用することは可能です。

変形労働時間制を管理する方法

変形時間労働制は、企業と従業員の双方にメリットがある労働形態です。しかし、いざ変形時間労働制を導入するとなると、企業側は勤怠を細かく把握したり、管理体制を強化したりなどの対策が必要になるでしょう。そこで、変形時間労働制をスムーズに導入できるシステムを紹介します。

勤怠管理システム

勤怠管理システムを強化したい場合は、クラウド型のシステムへ移行するのも1つの方法です。クラウド型の勤怠管理システムなら、法律の改正などがあった場合、自動的にアップデートされるため、常に最新のシステムが使えます。変形労働時間制やフレックスタイム制に対応している勤怠管理システムも多く、勤務日数や有給休暇、残業代の集計も簡単です。

届出一括システム

HRテックでは、書類の準備や作成、提出など、毎日の業務を簡素化できるシステムも提供しています。届出の管理だけではなく、従業員一人ひとりの労務管理ができるのも特徴です。変形時間労働制を導入している社員を一覧で表示するシステムも備えており、即座に把握できます。

変形労働時間制を導入している事例

実際に変形労働時間制を導入し、働き方改革を進めている企業も多く存在します。変形労働時間制の導入した企業や、具体的な事例をチェックしてみましょう。

ヤマト運輸

2018年の9月から労働日数および時間選択制度を導入したヤマト運輸は、過去に変形労働時間制の不正運用によって、残業代の未払いが発覚しています。不正を防止し、より働きやすい環境を作るために、ヤマト運輸は労働時間を柔軟に選択できる短時間勤務制度を導入しました。1日あたりの労働時間に「7時間」を新設し、労働日数も「週4日」や「週3日」から選択が可能です。

ファーストリテーリング

ファーストリテーリングはユニクロをはじめとしたファストファッションを展開する企業です。ファーストリテーリングでは変形労働時間制度を利用した週休3日制度を導入しています。1日10時間、週4日の勤務で、週40時間のフルタイム勤務と同額の給与を支給されるというシステムです。育児などにも余裕をもってあたれるような、仕事もプライベートも充実できる労働環境を目指しています。

日本航空

2015年度からワークスタイル変革の専門組織を設立した日本航空では、主に客室乗務員や運航乗務員などに対して、1カ月変形労働時間制が採用されています。早朝フライトや深夜フライトに合わせた勤務体制を確立するほか、勤務時間選択制度やフレックス制度を導入し、勤務時間の改善に努めました。数々の先進的な試みにより、より生産性の高い職場環境へと変化しています。

変形労働時間制を上手に取り入れて働き方改革促進

変形労働時間制は企業側にも従業員側にもメリットが多く、一人ひとりのライフスタイルに合わせた新しい働き方を推奨する制度です。しかし、管理体制をしっかりと整えなければ、かえってトラブルを招く原因になりかねません。変形労働時間制をスムーズに導入できるような管理体制を構築したうえで、働き方改革を促進しましょう。

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