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2021.12.6

従業員エンゲージメントとは?向上させる目的や具体的な施策を解説 

従業員エンゲージメントとは、従業員が会社のビジョンや目標に共感し、自発的に貢献したいと思う「組織と個人の信頼関係(相思相愛の度合い)」のことです。

近年、「従業員エンゲージメント」という言葉を耳にする機会が増えましたが、具体的に何を意味し、なぜ今の人事戦略においてこれほどまでに不可欠とされているのか、戸惑っている担当者の方も少なくありません。

昨今、人手不足の加速や働き方の多様化により、企業にとって最大の課題は「優秀な人材の流動化(離職)」を防ぎ、個々の力を最大限に引き出すことにシフトしています。そのため、従来の「従業員満足度」に代わる新しい重要指標として、このエンゲージメントが注目されているのです。

「ただの満足度調査やモチベーションと何が違うのか?」
「具体的にどのくらいの作業やフローが必要なのか?」

本記事では、従業員エンゲージメントの定義という基本(結論)から、向上させる目的、期待できる効果、そして導入の具体的な7つのステップまで、人事の新人・異動者の方でも明日から自信を持って運用に関われるよう、体系的にわかりやすく解説します。 

従業員エンゲージメントとは

従業員エンゲージメント(Employee Engagement)とは、従業員が会社の掲げるビジョンや目標に共感し、自発的に貢献したいと思う「組織と個人の相思相愛の度合い(信頼関係)」を指します。よく似た言葉である「従業員満足度」や「モチベーション」とは、以下のように視点や業績への影響が決定的に異なります。 

「従業員満足度」「モチベーション」との決定的な違い 

よく似た言葉に「従業員満足度(ES)」や「モチベーション」がありますが、その本質は大きく異なります。 

従業員満足度(ES)
報酬・福利厚生などの待遇面、人間関係、設備といった「居心地の良さ」を測る指標。会社から与えられる環境への満足度であるため、従業員エンゲージメントとは違い、必ずしも「会社に貢献しようという意欲」には直結しません。 

モチベーション
従業員個人の「やる気(動機付け)」。従業員エンゲージメントとこのモチベーションが相乗効果を発揮することで、初めて企業の業績向上へと繋がります。 

項目 エンゲージメント 従業員満足度 (ES) モチベーション 
定義 組織と個人の「双方向」の信頼関係 会社から与えられる環境への満足感 個人を動かす「やる気(動機)」 
視点 組織+個人(共に成長する) 会社→個人(居心地の良さ) 個人(自分のため) 
対象 会社のビジョン、目標への共感 給与、福利厚生、人間関係など 仕事そのものへの興味、報酬など 
業績への影響 非常に高い(自発的貢献に繋がる) 限定的(成果に直結しない) 高い(ただし方向がズレることも) 

従業員エンゲージメントの調査・測定方法 

従業員エンゲージメントは、従業員へのアンケート調査を実施することで客観的に測定し、スコア化(数値化)することが可能です。主に以下の3つの手法が用いられます。 

①パルスサーベイ
②エンゲージメントサーベイ
③ eNPS 

① パルスサーベイ(短期・簡易調査)
日ごと、または週ごとに数問程度の簡単な設問で行う調査です。

特徴: 
従業員の心理状態や組織全体の細かな変化をリアルタイムに把握できます。タイムリーに従業員をフォローしたいときに最適です。 

② エンゲージメントサーベイ(中長期・詳細調査)
月ごと、または年ごとに詳しい設問を用いて行う本格的な調査です。 

特徴: 
企業や組織自体へ貢献する意欲などを具体的に深掘りして調査します。分析に時間はかかりますが、中長期的な人事戦略づくりに反映させるために不可欠です。 

③ eNPS(Employee Net Promoter Score) 
「現在の職場を親しい友人や知人にどの程度すすめたいか」という質問をベースに、仕事のやりがいや会社への愛着などを数値化する方法です。

特徴: 
欧米を中心にグローバルで導入が進んでおり、このeNPSのスコアが高いほど、従業員エンゲージメントが高い企業であると判断できます。 

従業員エンゲージメントを高めるメリット

従業員エンゲージメントの向上によって、従業員が安心して仕事に取り組む環境が整い、顧客満足度や業績の向上を実現できます。職場の雰囲気も良くなり、離職率の低下にも効果を発揮するでしょう。従業員エンゲージメントを高めることで得られるメリットを紹介します。

企業の業績・生産性の向上

従業員エンゲージメントを高めることで従業員が主体的に業務に取り組む姿勢が定着し、生産性や業績の向上を実現できます。企業の理念やビジョンに共感しているため従業員の目標達成意識も高く、困難に直面したとしてもチームで協力して問題を解決する風土も醸成されます。

チームプレーの中で自分の仕事にやりがいを感じ、自己研鑽などを通じて仕事の質を高めるモチベーションにもつながります。与えられた業務をこなす姿勢から自発的にチャレンジする姿勢へと、従業員個人の行動を変革させるチャンスも生まれるでしょう。市場の変化に柔軟に対応しながら、企業の持続的経営につなげられれば企業の生き残り戦略にとっても有利になるでしょう。

顧客満足度の向上

従業員エンゲージメントを高めていけば仕事に積極的に取り組む姿勢も定着し、顧客を大切にした対応を実践できるようになります。顧客と積極的にコミュニケーションを取りながらニーズに合った商品・サービスを提案することで、顧客満足度の向上を目指せます。従業員の対応が顧客に評価されれば、更なる高みを目指そうとする好循環も生まれるでしょう。

担当者個人が責任を持って対応するのはもちろん、チームや会社全体で顧客対応を進めようというスタンスにもつながります。従業員エンゲージメントが低いと顧客対応が雑になりがちですが、会社との絆という後ろ盾があれば、可能な範囲で前向きな姿勢で顧客対応に取り組めるようになります。その結果、会社の商品・サービスを支持する顧客が増えて信頼も深まるのです。

離職率の低下

従業員エンゲージメントが高いと、従業員が組織の一員であるという意識も高まって離職率が低下します。従業員一人ひとりが主体性を持って仕事に取り組む姿勢が定着しているため、チーム内のコミュニケーションも活発になり結束力が高まります。何らかの形で仕事に貢献して自分の居場所を確立できることから、会社への愛着心も高まるでしょう。

終身雇用制度が崩壊して以降、優れた収入や待遇を求めて転職する人が増えている一方、職場での人間関係や仕事のやりがいを大切にする人も少なくありません。会社への愛着心やチーム内での信頼関係が強ければ、今の職場を離れたくないという気持ちが芽生え、結果的に長期の勤続につながる可能性があります。優れた人材を企業に定着させ、知識・ノウハウの流出を防いで競争力を高めるためにも従業員エンゲージメントの向上は有効です。

従業員エンゲージメントを高める要素

従業員エンゲージメントを高めるためには「理解・共感」「個人理念との一致」「当事者意識」の3つの要素を明確にすることが大切です。それぞれの要素について、詳しく解説します。

理解と共感

従業員エンゲージメントを高めるためには、企業の理念やビジョンを明確にした上で従業員の理解を得ることが必要不可欠です。経営戦略に基づいて、企業の目指す方向性や目標を達成した後の未来像などを、すべての従業員にわかりやすく説明する必要があります。経営層が自分の言葉で説明するのが理想的ですが、企業理念を明記したカードを配ったり企業理念に関する教育研修を定期的に実施するのも一つの方法です。

その上で、担当する仕事は目標を達成するプロセスのどの部分に必要なのか、自分自身が活かせるスキルは何なのかを考えるきっかけを提供するようにします。担当業務とビジョンの関連性が理解できれば、企業の方針に共感して仕事を進められるようになります。

個人理念との重なり

従業員個人の価値観と企業の理念・ビジョンが一致する部分を探し出すことも、従業員エンゲージメントの向上を目指すには大切な要素です。従業員が優れた考え方や能力を持っていても、企業の方針と噛み合わなければ十分に能力を発揮できません。また、企業の理念・ビジョンに賛同できない従業員がいる場合には、チーム内での信頼関係の構築に影響を及ぼすかもしれません。

従業員が持つ能力を十分に引き出して企業の業績向上につなげるためには、価値観やビジョンをすりあわせる作業が欠かせません。1つでも考え方の共通点が見つかれば、仕事の達成感や上司の承認などを通じて企業理念と個人理念とのマッチングが実現できるでしょう。1on1ミーティングなどで上司と部下が相互理解を図りながら、企業のビジョンに関する考え方を深めていくのも一つの方法です。

当事者意識

従業員エンゲージメントは企業と従業員の共同作業で高めていくため、従業員には自分で考えて行動する意識が求められます。

仕事に対する正当な評価は従業員にとっての自信につながり、創意工夫によってさらにパフォーマンスを高めるきっかけにもなります。また、チーム内で円滑なコミュニケーションが取れていれば仕事に対する意見が言いやすくなり、自発的に行動する習慣づけにもなるでしょう。

なお近年では、仕事や人間関係・職場環境など社内のすべての経験を価値と位置づけて従業員エンゲージメントを向上させる「エンプロイー・エクスペリエンス」という考え方も注目されています。

従業員エンゲージメントが高い企業の事例

海外と比べて日本企業の従業員エンゲージメントが低いといわれる中でも、企業の価値観を共有しながら従業員と企業の信頼関係を深め、経営面でのメリットにつなげている企業が増えています。従業員エンゲージメントが高い企業が取り組んでいる施策を紹介します。

小松製作所(コマツ)

建設・産業機械メーカーの小松製作所(コマツ)では、現場の従業員に深く関わるマネージャー層を対象に従業員エンゲージメントを強化する研修を実践しています。

信頼関係の構築やチームワークの推進・権限委譲など現場従業員に配慮するポイントを明確化した上で現場従業員のフォローにあたった結果、半年間で従業員エンゲージメントが33%から70%にアップ、大幅な改善に成功しました。工場の生産性も約10%アップ、会社の業績向上も実現しています。

会社の考え方や価値観を事例付きで解説した冊子「コマツウェイ」を経営層を含む全社員に配布し、日常業務を通じて働く上での考え方・心構えを伝え続けることで従業員の共感を得られています。

スターバックス

世界各国でコーヒーショップを展開するスターバックスでは、雇用形態にかかわらずすべてのスタッフを「パートナー」と位置づけ、自分で考えて顧客対応や店舗運営を行う方針をとっています。業務マニュアルがない代わりに、会社の理念・ビジョンをパートナーに共感してもらえるよう徹底して働きかけているのが特徴です。

スターバックスでは「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を世界共通のミッションと定め、パートナー同士はもちろん、顧客を心から認め合う姿勢を大切にしています。自分の居場所を確立することが成長の原動力となり、高いレベルの店舗サービスとブランド力の維持につながっているのです。

従業員エンゲージメントを向上させる施策

積極的にコミュニケーションを取り合いながら従業員一人ひとりの能力を存分に発揮できる環境づくりが、従業員エンゲージメントの向上には必要不可欠です。仕事とプライベートのメリハリをつけて健全に働けるよう、ワークライフバランスの充実も必要でしょう。従業員エンゲージメントを向上させるための、主な施策を紹介します。

適材適所な人材配置

従業員の能力を十分に発揮できるよう、従業員の能力と希望を把握した上で適材適所に人材を配置することが従業員エンゲージメントを向上させる重要な施策です。能力や評価に見合わない部署に配属してしまうと、仕事へのモチベーションが下がるだけでなく会社や上司への不信感につながってしまいます。自分の強み・能力を存分に発揮できる、あるいは組織の目標達成に貢献できていると実感できるような人材配置が理想です。

また、人事権が会社にあるとしても従業員の希望を考慮せずに人材配置を進めると、従業員の話を聞いてくれない会社だという印象を与える懸念があります。従業員の希望に添えない場合には、その理由を丁寧に説明して理解を得るようにしましょう。評価面談や1on1ミーティングなどを通じて、従業員のキャリアアップや働き方などの希望を把握しておくと、人材配置に関連するトラブルを減らせるでしょう。

ワークライフバランスの推進

仕事で高いパフォーマンスを発揮するためには、心身ともに健全な状態で生活できるようワークライフバランスを推進することも大切です。

2019年の労働基準法改正により、残業時間の上限規制や年次有給休暇の取得促進が義務づけられるなど、仕事とプライベートの両立が推進されています。育児・介護など家庭環境への配慮も求められています。また、仕事が終わった後に従業員が十分な休息を取れるよう、勤務間インターバル制度を導入する企業も増加傾向です。厚生労働省では助成金(働き方改革推進支援助成金)を用意して、勤務間インターバル制度の導入を支援しています。

プライベートでも充実した生活を楽しみつつ、家庭も大切にできれば従業員は安心して働き続けることができ、従業員エンゲージメントの向上につながるでしょう。

コミュニケーションの活性化

チーム内だけでなく社内全体の人間関係を良好に保つことも、従業員エンゲージメントの向上には必要不可欠です。他部署の人でも、挨拶するだけで存在が認められていると実感でき、社内の人脈作りに効果を発揮します。気軽に話せる環境が整っていれば困った時に相談し合える関係性も生まれ、組織ぐるみで目標達成に取り組めるでしょう。

テレワーク(リモートワーク)を導入する企業では、ビデオ会議システムやビジネスチャットでコミュニケーションをとる機会が増えています。1対1でコミュニケーションを取りやすい反面、話の意図が誤って伝わるとトラブルの原因になるので、相手の状況や心情に配慮しながらわかりやすい言葉で対話を進めるように配慮しましょう。

「エンゲージメントサーベイ」に関するQ&A 

人事の新人・異動者の方が現場で直面しやすい疑問にお答えします。 

Q:エンゲージメントサーベイはどのくらいの頻度で実施すべきですか?  

A: 目的によりますが、年1〜2回の「総合調査(センサス)」に加え、数問程度の短い質問を月1回行う「パルスサーベイ」を併用するのが近年の主流です。変化の激しい組織では、高頻度なパルスサーベイによって課題をリアルタイムに把握し、迅速に手を打つことが可能になります。 

Q:従業員が「本音」で回答してくれない場合はどうすればよいですか? 

 A: 「回答内容によって不利益を被ることはない」という匿名性の保証を徹底し、繰り返しアナウンスすることが重要です。また、最も効果的なのは「前回の調査結果を受けて、会社が実際にどう変わったか(アクション)」を具体的に示すことです。「答えても無駄」という不信感を払拭することが、回答の質を高める鍵となります。 

Q:スコアが低い部署の管理職には、どのようにフィードバックすべきですか?  

A: スコアの低さを「勤怠や評価」に直結させるのではなく、あくまで「改善のためのヒント」として提示してください。人事担当者は、管理職が自チームの結果を客観的に受け止め、部下と建設的な対話(1on1など)ができるよう、データの見方や改善策の壁打ち相手として伴走する姿勢が求められます。 

Q:サーベイのスコア(数値)を上げること自体を目的にしてもよいですか?  

A: 数値を追うことは指標として重要ですが、それが目的化(ハイスコアを出すための形骸化)すると本末転倒です。真の目的は、数値の裏側にある「従業員の不満や期待」を読み解き、組織文化や働き方を改善することにあります。スコアはあくまで「組織の健康状態」を測るための手段であることを忘れないようにしましょう。 

従業員エンゲージメントの向上には「COMPANY Talent Management」シリーズ

従業員エンゲージメントを高めると従業員が能力を存分に発揮できる環境が整い、企業の生産性が向上するだけでなく離職率が低下するメリットが得られます。企業の理念・ビジョンに対する従業員の理解と共感を得て、自発的に行動するように習慣づけることも大切です。

従業員エンゲージメントの向上には、タレントマネジメントシステムの活用が効果的です。「COMPANY Talent Management」シリーズは、企業理念を浸透させるツールなどを搭載し、社員自ら活用したくなるUIで社員間のコミュニケーションの活性化をサポートします。テレワークで勤務する社員と、業務の進捗状況やメッセージを共有できる仕組みも提供しています。ラフール社の従業員サーベイツール「ラフールサーベイ」との連携も可能ですので、従業員エンゲージメントの向上を目指されている方はぜひ一度お試しください。

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