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2020.5.11

「1on1で話すことがない」悩みを解決|やり方・テーマ例を紹介

1on1は、面談相手との信頼関係を高めながら人材育成に繋げる目的で定期的に1対1で行う対話のことで、その本質的な目的は「従業員の成長・育成」と「エンゲージメント向上」にあります。 

一般的な人事評価面談とは異なり、部下が主役となってキャリアや日々の業務の課題を話すことが特徴です。しかし、いざ実施してみると「話すことがない」「何を話していいか分からない」と悩む上司や部下が少なくありません。1on1を形骸化させず、効率的な人材育成や組織の生産性向上に繋げるためには、適切なやり方とテーマの設定が不可欠です。 

本記事では、1on1で「話すことがない」状態に陥る原因を紐解きながら、そのまますぐに使える具体的なテーマ例や質問項目例、成果を生み出す5ステップのやり方について分かりやすく解説します。 

そもそも1on1とは?人事評価面談との決定的な違い 

1on1とは、主に上司と部下が定期的(週1回〜月1回など)に1対1で行う対話の時間です。近年、多くの企業が導入を進めていますが、従来の「人事評価面談」や「一般的な業務面談」と混同され、本来の効果を発揮できていないケースが見受けられます。 

1on1を正しく運用するためには、その「目的」と「主役」の違いを明確に理解しておく必要があります。 

1on1の目的は「従業員の成長・育成」と「エンゲージメント向上」 

1on1の最大の目的は、従業員(部下)の成長・育成と、組織へのエンゲージメント(愛着・信頼)向上にあります。 業務の進捗確認や、上司からの指示・命令を伝える場ではありません。部下が日々の業務を通じて感じている悩み、気づき、将来のキャリア像などを自由に話すことで、自発的な行動変容や能力の向上を促すための時間にします。 

もともとは、半導体メーカー大手の米国インテル社が取り入れたマネジメント手法として注目され始めました。日本でも、多様化する個人の価値観や働き方を尊重しながら、従業員のパフォーマンスの最大化を目指す目的で1on1を導入する企業が増えています。 

面談する側としては、面談相手の情報を十分把握できないと悩む場面もあるでしょう。しかし、1on1には面談する側・される側が信頼関係を深める目的もあるため、短時間でも定期的に話し合いを深めることで互いに心を開いて話しやすくなります。対話がスムーズに進めば、面談相手の状況を的確に理解できるようになり、フィードバックの質も高まります。その結果、面談相手だけでなく面談する側の成長にも繋がるのです。 

通常面談や人事評価面談との違い(比較表) 

1on1と、従来の人事評価面談・業務面談の決定的な違いは、以下の通りです。 

項目 1on1 人事評価面談 一般的な業務面談 
主体(中心) 従業員(部下) 上司・人事 組織・業務プロセス 
主な目的 個人の成長・育成・コンディションの把握 過去の実績評価・給与査定の伝達 業務の進捗確認・トラブル解決・指示 
話す内容 キャリア、心身の健康、組織の課題、雑談など 評価基準に対する達成度・MBOの振り返り 担当業務の進捗・売上状況・タスク共有 
実施の頻度 高頻度(週1回〜月1回) 低頻度(半期・四半期に1回) 必要に応じて都度(毎日〜週1回) 
視点(時間軸) 現在から未来(今後の成長) 過去(これまでの実績) 現在(目の前の課題) 

このように、1on1は「部下の時間」であり、上司は「聞き手」として個人の成長をサポートする役割を担います。この前提がズレてしまうと、部下は「話すことがない」と感じたり、評価を気にして本音を話せなくなったりするため注意が必要です。 

近年1on1の導入企業が急増している背景 

これほどまでに1on1が注目され、導入する企業が増えている背景には、労働人口の減少に伴う「人材の定着(離職防止)」と「多様な働き方(リモートワーク等)への対応」があります。 従来の年功序列型マネジメントや、半期に1回の人事評価面談だけでは、従業員のエンゲージメント低下やコンディションの悪化を早期に察知することが困難になりました。 

激しい変化の中で組織の生産性を向上させ、変化に強い人材を育成するために、高頻度で密な対話を行う1on1が不可欠となっているのです。 

1on1の基本については、こちらの記事でも解説しています。

「1on1とは?目的や人事評価面談との違い、「意味がない」と言われないためのポイントをわかりやすく解説」

1on1を実施する4つのメリット

1on1を適切なやり方で継続することは、単なる「面談時間の増加」ではなく、組織の強固な基盤作りに直結します。ここでは、1on1がもたらす4つの大きなメリットを解説します。 

1. 従業員の成長・育成のスピードが加速する 

1on1では、部下が日々の業務での気づきや課題をタイムリーに話すことができます。上司が適切な問いかけを行うことで、部下は自らの行動を客観的に振り返り、次にすべきアクションや軌道修正を自発的に導き出せるようになります。このサイクルを週1回〜月1回という高頻度で回すため、通常の人事評価面談を待つよりも圧倒的に早いスピードで人材育成が進みます。 

2. モチベーションとエンゲージメント(愛着)が向上する 

「上司が定期的に自分のために時間を取り、話を聴いてくれる」という環境は、従業員に強い安心感を与え、心理的安全性の向上に繋がります。自分のキャリアの希望やコンディションを組織が理解してくれていると実感することで、自発的な貢献意欲(エンゲージメント)が高まり、モチベーションの向上や、優秀な人材の離職防止、定着率アップに繋がります。 

3. 信頼関係が深まり、組織の課題を早期に発見できる 

高頻度の1on1を通じて上司と部下の間に深い信頼関係が構築されると、部下はトラブルや組織への不満といった「ネガティブな情報」も早い段階で相談してくれるようになります。これにより、重大なリスクの芽を早期に摘み取ることができ、企業全体の危機管理やチームの生産性安定に大きく貢献します。 

4. 企業のビジョンや方針の浸透がスムーズになる 

1on1は、会社の経営戦略やバリュー(価値観)を、部下の個人目標や日々の動レベルに落とし込むための絶好の機会です。「会社が目指す方向性(ビジョン)」と「個人の成長」を1on1の対話の中でリンクさせていくことで、従業員は自分の業務の意義を深く理解し、組織一丸となった成果の創出が可能になります。 

なぜ「1on1で話すことがない」状態に陥るのか?主な原因

1on1の導入当初は盛り上がっても、回数を重ねるうちに「今日は特に話すことがない」と感じるようになるケースは少なくありません。この状態を放置すると、お互いにとって1on1が「苦痛な時間」へと形骸化してしまいます。 

話すことがなくなってしまう背景には、従業員(部下)とマネジャー(上司)の双方に異なる原因があります。 

【部下側】評価への懸念や、何を話していいか分からない 

部下が「話すことがない」と感じてしまう場合、以下のような心理的・環境的要因が考えられます。 

「評価に響くかもしれない」という警戒心 

1on1の場が人事評価と直結していると感じている場合、部下は「自分の弱みや失敗談、業務の悩みを正直に話すことで、マイナス評価を受けるのではないか」と身構えてしまいます。 

自分の課題を言語化できていない 

日々の業務に追われ、自分が今どのような壁にぶつかっているのか、今後どのようなキャリアを築きたいのかという「自己省察(振り返り)」をする余裕がない場合、いざ対面しても「特にありません」と答えるしかなくなります。 

「話しても無駄だ」というあきらめ 

過去の1on1で、勇気を出して本音や組織の課題を話した際に、上司から否定されたり意見をスルーされたりした経験があると、部下は「何を話しても環境は変わらない」と心を閉ざしてしまいます。 

【上司側】テーマの提示不足や、業務進捗の確認(詰問)になってしまっている 

一方で、受け手である上司のやり方が原因で、部下の言葉を奪ってしまっているケースも非常に多いのが実態です。 

通常の「業務進捗確認(ミーティング)」になっている 

「あの件どうなった?」など、目の前のタスクの進捗ばかりを尋ねるやり方をしていると、それは1on1ではなくただの業務報告です。部下は「報告する数字や進捗がない=話すことがない」と錯覚してしまいます。 

部下に丸投げしてテーマを提示していない 

「今日は何話す?」と1on1のスタート時に全てを部下任せにしてしまうと、部下は強いプレッシャーを感じます。特に、まだ経験の浅い若手や入社間もない従業員の場合、上司側から適切なトークテーマや切り口の選択肢を提示しないと、沈黙を生む原因になります。 

上司が「自分のアドバイス・説教」で時間を埋めてしまう 

部下が少し話し始めたのに対し、上司が「俺の若い頃は〜」「それはこうすべきだ」と自分の持論を展開してしまうケースです。主役が上司にすり替わってしまうため、部下は話す意欲を失い、次から「話すことはない」という態度になってしまいます。 

【そのまますぐ使える】

1on1で話すこと・テーマ例一覧 

1on1で「話すことがない」という事態を防ぐ最も効果的な解決策は、あらかじめ「対話のテーマ(アジェンダ)」をいくつかのカテゴリーに分類してストックしておくことです。 

部下のその時の状況やコンディションに合わせて、以下の4つのテーマから選んで話すことで、実りある1on1へと早変わりします。 

1. 業務の課題・キャリア(中長期的な目標) 

日々の業務の振り返りだけでなく、少し先の未来を見据えた個人の成長や人材育成に関するテーマです。会社の経営方針や企業のビジョンと、本人のやりたいことを擦り合わせるのに適しています。 

・今取り組んでいる業務の進捗と、そこで感じている課題・ボトルネック 

・最近の業務でうまくいったこと(成功体験の言語化)

・今後挑戦してみたいプロジェクトや、身につけたいスキル・能力 

・中長期的なキャリアプラン(3年後・5年後にどうなっていたいか)

2. プライベート・心身のコンディション(健康状態) 

従業員がベストなパフォーマンスを発揮するためには、心身の健康が不可欠です。リモートワーク等で孤立しがちな部下の小さな変化を察知するための重要なテーマです。 

・最近の睡眠時間や、体調面に不安はないか 

・モチベーションの波や、精神的なストレスを感じていることはないか 

・ワークライフバランス(残業時間やプライベートの時間)の現状 

・最近ハマっている趣味や、休日の過ごし方(アイスブレイク用) 

3. 組織・人間関係(チームへの不満や要望) 

周囲とのコミュニケーションや、職場環境に関するテーマです。上司が普段見えていない、組織内の人間関係のトラブルや業務プロセスの不満を早期に発見・解消できます。 

・チーム内のメンバーや、他部署との連携においてやりにくさはないか

・職場の雰囲気や、オフィスの環境(リモート環境)に対する要望 

・現在のチームの目標設定や、タスクの割り振りに納得感はあるか 

・組織の中で、もっと改善できると思う仕組みやルール 

4. 上司へのフィードバック(サポートしてほしいこと) 

1on1のやり方そのもののブラッシュアップや、上司自身の行動改善に繋げるためのテーマです。部下が「上司に守られている、支援されている」と実感することでエンゲージメントが向上します。 

・上司(自分)に対して「もっとこうしてほしい」という要望はあるか 

・現在の1on1の頻度や時間は適切だと感じるか

・直近の指示やアドバイスで、分かりにくかった点や修正したい点はないか 

・自分が次に挑戦したいことに対して、どのようなサポートが必要か 

【状況別】1on1の質問項目例 

1on1で適切なテーマを選んでも、上司の問いかけが「最近どう?」といった大雑把なものだと、部下は再び「特にないです」と口を閉ざしてしまいます。部下の本音や行動の振り返りを促すために、上司が使える具体的な質問項目例を状況別に紹介します。 

業務の進捗や課題を引き出す質問 

部下が抱えているボトルネックを解消し、業務効率の向上や成果創出をサポートするための質問です。

・「今週の業務の中で、一番時間がかかったり、苦戦したりしていることは何?」

・「〇〇のプロジェクトをよりスムーズに進めるために、何か障壁になっていることはある?」

・「最近うまくいった業務について、自分なりに『これが成功の要因だ』と思うポイントを教えてくれる?」 

・「今の仕事の進め方で、もっと自動化したり、他部署と連携したりして改善できそうな部分はある?」 

キャリアや将来の目標について深掘りする質問 

部下のエンゲージメントを高め、中長期的な人材育成へと繋げるための質問です。自社のビジョンと個人のキャリアを結びつけるきっかけを作れます。 

・「将来的に、社内でどんな業務やプロジェクトに挑戦してみたいと考えている?」

・「今の仕事を通じて、新しく身につけたいスキルや知識(能力)は何かある?」 

・「1年後、あるいは3年後に『こんなビジネスパーソンになっていたい』という理想像はある?」

・「今取り組んでいる仕事は、君が目指すキャリアにどう繋がっていると感じる?」 

人間関係や心身のコンディションをケアする質問 

従業員のコンディションの変化を早期に察知し、心理的安全性を確保するための質問です。 

・「最近、しっかり睡眠はとれている?体調や体力面で気になることはない?」

・「チーム内のコミュニケーションや、周りのメンバーとの連携でやりにくさを感じることはない?」

・「今の業務量について、キャパシティ(負担)は10点満点中、何点くらいだと感じる?」

・「プライベートや私生活の面で、仕事のスケジュールに影響が出そうな悩みや変化は何かある?」 

成果を生み出す1on1の具体的な「やり方」5ステップ 

1on1で「話すことがない」という状態を防ぎ、効果的な人材育成や組織の生産性向上に繋げるためには、正しい手順に沿って運用することが不可欠です。成果を生み出す1on1のやり方を5つのステップで解説します。 

ステップ1:目的と「部下の時間であること」を共有する 

1on1を始める前に、面談する側が面談相手に1on1を実施する目的と内容をわかりやすく伝えるようにします。面談相手の中には、上司やリーダーなどと直接話をするのに、不安を感じたり緊張したりする人も少なくありません。1対1の面談なので、業務の進捗状況や自分の能力に関して厳しく管理されるのではという誤解が生じる懸念もあるでしょう。そのため、1on1は仕事で抱えている課題や個人的な悩みなどの話を聞くために行うものであり、面談相手を管理する手段ではないことを明らかにしておくことが大切です。 

また、仕事やプライベートの話をしたことで人事評価や給与改定などに影響すると考える人もいます。人事評価の面談と1on1とは目的が別であること、そして対等な立場で話し合いながら互いの成長に繋げる場であることも伝えるようにしましょう。「これはあなたの時間だから、業務の悩みに限らず、キャリアやプライベートのことなど何でも自由に話すことができる場だよ」と伝えることで、部下の心理的安全性を確保し、警戒心を解くことが最初の重要なステップです。 

ステップ2:適切な頻度と時間(月1〜週1、30分程度)でスケジュールを設定する 

1on1は高頻度で継続することに意味があります。推奨されるスケジュールは「週に1回〜月に1回、1回あたり30分〜60分程度」です。 不定期の開催や、期間が空きすぎてしまうと、「久しぶりすぎて何を話せばいいか分からない(=話すことがない)」という状態に陥りやすくなります。あらかじめカレンダー上でスケジュールを定期確保しておくことが、形骸化を防ぐコツです。 

ステップ3:事前に話すテーマ(アジェンダ)を部下に決めてもらう 

1on1の当日になって「今日は何話す?」と聞くやり方は沈黙を生む原因になります。 部下には、事前に「今回はキャリアについて相談したい」「今の業務のボトルネックを共有したい」など、大まかなテーマを考えておいてもらいましょう。上司側は、前述の「テーマ例一覧」を共有しておき、部下がテーマを選びやすい環境を作っておくのが理想的なやり方です。 

ステップ4:上司は「傾聴」に徹し、問いかけで行動変容を促す 

当日の1on1では、上司は「聞き手」に徹します。目安として、部下が7割、上司が3割の対話比率が理想です。 部下が話すことに対して、途中で否定したりアドバイスを被せたりせず、まずは最後まで「傾聴」します。上司は適切な質問項目例を用いて問いかけを行い、部下自身が「次にとるべき行動」を自発的に導き出せるようサポートします。 

ステップ5:終了時に「次へのアクション」をログ(記録)に残す 

1on1の最後には、対話を通じて決まった「次の1on1までに部下が取り組む具体的なアクション」を明確にします。 そして、その内容を簡単なログ(面談記録)として、上司・部下の双方がいつでも確認できる共有シートなどに残しておきましょう。次回の1on1は、このログの振り返りからスタートできるため、「次回話すことがない」という事態を綺麗に防ぐことができます。 

1on1をスムーズに進めるコツ

1on1では、面談相手の話を傾聴する前提で実施するミーティングです。面談する側が自分のことをさらけ出せば、場の空気が和らぎ話しやすい環境も整うでしょう。1on1をスムーズに進めるコツも確認しておきましょう。

傾聴力を磨く

面談相手が話しやすい環境を整え、1on1がスムーズに進むようにするためには面談する側が傾聴力を磨くことが大切です。面談する側が先に発言したり話す時間が長くなりすぎたりすると、面談相手は自分の考えを率直に話すのが難しくなってしまいます。

話にあいづちを打つ、または話した内容を言い換えるなど相手を理解しているという姿勢を示すようにしましょう。仮に上司や会社に対する不満が出たとしても不快感を示さず、「大変でしたね」「いつもありがとう」というように、話そのものを受け入れることも1on1では重要視されています。

自己開示をする

普段一緒に仕事をしてる間柄といっても、すぐに心を開くのは難しいものです。そのため、面談する側が自己開示することが相手の話を引き出す上で重要となってきます。面談相手が親近感を持つ内容、あるいは面談する側の失敗談をすることで話し合いの場が和んで、本音を引き出せるようになります。ただし、1on1では面談相手が主役だということを念頭におき、話す時間は2~3分ほどにとどめておきましょう。

相手の情報を事前確認する

1on1の実施前に面談相手の情報を把握しておけば、話し合う内容も整理できスムーズに話し合いを進められます。複数のメンバーと1on1を実施している場合、相手の状況・仕事内容や話し合いの日時などが似ていると、誰と話した話題だったのか不明確になるケースが少なくありません。その結果、他人に知られたくない内容が筒抜けになるリスクも生じます。話し合いごとにメモを残して読み返す習慣をつけることも、信頼関係を保ちながらスムーズに1on1を進めるためには重要です。

1on1の効果を最大化!上司が意識すべき注意点 

1on1の具体的なやり方やテーマを用意していても、上司のちょっとしたスタンス次第で、部下が「話すことがない」と心を閉ざしてしまうことがあります。1on1の効果を最大化するために、上司が意識すべき注意点を解説します。 

アドバイスや説教に終始しない 

部下が業務の悩みや課題を話すことに対して、上司がすぐに「それはこうすべきだ」「自分の若い頃は〜」と解決策(アドバイス)を被せてしまうのはNGです。主役が上司にすり替わってしまうと、部下は「自分の話を聴いてもらえなかった」と感じ、次から本音を話さなくなります。 まずは部下の言葉を否定せずに受け止める「傾聴」を意識し、アドバイスしたくなる気持ちを抑えて、問いかけによって部下自身の気づきを促すスタンスを徹底しましょう。 

自社・企業のビジョンと個人の成長をリンクさせる 

1on1は単なる「悩み相談室」ではありません。最終的には、部下個人の成長が企業成果や組織の生産性向上に繋がることが理想です。 部下が掲げるキャリアの目標や日々の行動が、自社の経営方針やビジョンとどのように結びついているのかを、対話の中で一緒に紐解いていきましょう。仕事の「意味」や「価値」を部下が深く理解することで、自発的なモチベーション(エンゲージメント)が高まります。 

人事評価(査定)の場とは切り離す 

1on1の中で、給与や賞与に直結するような評価(査定)の話題をダイレクトに混ぜてしまうと、部下はマイナス評価を恐れて「無難なこと」しか話せなくなります。 1on1はあくまで未来の「成長・育成」のための場であり、過去の実績を精算する「評価面談」とは完全に切り離して運用することを、部下にも繰り返し伝えることが大切です。 

1on1の他社事例

ヤフー

ヤフーでは、1on1を「部下のための時間」と明確に位置づけた上で週1回・30分のミーティングを実践しています。上司が部下の真意をくみ取り、普段の業務に落とし込んだ上で潜在能力の発掘につなげているのも特徴です。

1on1を導入する前のヤフーでは、上司が多忙なために部下とのコミュニケーションが不十分な状態でした。隣の席にいる同僚ともメールでやりとりすることが日常化していたようです。対話不足が原因の、業務の混乱やトラブルも問題となっていました。その状況を打破するために、業務の仕組みとして上司と部下が向き合ってコミュニケーションを取る時間を設けたわけです。

1on1の実施にあたっては、上司が部下の話を聞くために「コーチング」「ティーチング」「フィードバック」3つのスキルを整理した上で社内ガイドラインを作成しました。さらに、部下が1on1の結果を評価する「1on1チェック」や社内コーチの養成を行い、1on1の質を高める工夫もこらされています。

その結果、上司と部下の理解が深まってコミュニケーションが活発化し、社内でも1on1が役に立っているという声が聞こえてくるようになりました。社内の人材育成に大きく貢献するなど、1on1は企業が抱えるさまざまな課題の解決に役立つのです。

クックパッド

クックパッドでは、メンバー間の信頼関係を強化するために週1回・15分の1on1を取り入れています。少人数のチーム制で働くエンジニアが他のメンバーを理解した上で業務の課題を発見し、トラブルを未然に防いでいるのが特徴です。

メンバー自身の能力を発揮できている一方で、チームプレーが得意でない社員が多いことが強いチームを作る上では一つの課題でした。チーム力を高めるためにはメンバーの相互理解が必要だと考えたことが、1on1を導入したきっかけです。気軽に話せる雰囲気を大切にしているため、仕事の話だけでなくプライベートに関する話など話題は多岐にわたります。したがって、1on1の実施にあたっては具体的な目標が設定されていません。

1on1によって定期的にコミュニケーションをとる時間を確保でき、普段あまり話さないメンバーとの信頼関係も構築できるようになりました。自由に話せる場として機能しているため、仕事上のトラブルや個人的な悩みも気軽に話すことができ、抱えている問題を早期に発見できるのもメリットです。問題が大きくなる前に仕事上のトラブルに気づき、サービス提供への影響を最小限にとどめることも可能になります。業務の課題を解決する場としても、1on1が有効に機能しているのです。

また、1on1を行う日時と場所を固定して、無理なく続けられる工夫もこらされています。何らかの理由で面談ができなかった場合は翌週にスキップできるため、仕事の進行には影響しません。15分で話し足りないときは外に出かけてランチをしながら1on1を続けるなど、柔軟な進め方でミーティングが行われています。1on1という形で本音を自由に話せる場が確保されることで、安定したコミュニケーションが実現できるのです。

1on1の運用効果を上げるなら「COMPANY Talent Management」シリーズ 

1on1は、適切なやり方とテーマ設定によって従業員の育成や生産性向上に大きな効果をもたらす反面、定着させるまでには「現場の上司が継続できているか把握しづらい」「面談ログが散逸してしまい、人事評価や過去の履歴と連動できない」といった運用上の課題も生まれます。 

このような自社の1on1運用の形骸化を防ぎ、効率化と効果最大化を両立させるツールとして、大手企業向け統合人事システム「COMPANY Talent Management」シリーズの活用がおすすめです。 

面談ログの一元管理で、中長期的な「育成」に活かす 

1on1で話したことや次へのアクション(ログ)をシステム上で蓄積。過去の推移を上司や人事がいつでも確認できるため、異動や昇進の際にも一貫した成長支援が行えます。 

人事評価制度・個人目標とのシームレスな連携 

「COMPANY」なら、1on1の記録とMBO(目標管理)やコンピテンシー評価シートなどの評価制度を同一システム内で紐づけられます。個人の成長プロセスを、最終的な企業成果へと正しく繋げることが可能です。 

全社的な実施状況の可視化で、形骸化を未然に防ぐ 

どの部署で1on1が滞っているかをダッシュボードで一目で把握できるため、人事が早期フォローに動くことができ、組織全体での健全な対話文化を醸成します。 

まとめ:適切なやり方とテーマ設定で1on1の質を向上させよう 

1on1は、従来の評価面談とは異なり、従業員(部下)の成長とエンゲージメント向上を目的とした「部下のための時間」です。 

現場で「話すことがない」という沈黙や形骸化が起きる背景には、テーマの不足や、知らず知らずのうちに業務の進捗確認(ミーティング)になってしまっているという、やり方の課題があります。本記事で紹介した「4つのテーマ一覧」や具体的な「質問項目例」を参考に、事前準備と傾聴の5ステップを実践することで、1on1の質は劇的に変わります。 

個人の成長が企業成果へと直結する理想的な組織づくりに向けて、自社に最適な1on1の仕組みを構築し、適切に運用していきましょう。 

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人材育成

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